テーブルに並んだ“ご馳走”
そこに並んでいたのは—— 唐揚げ、天ぷら、ケーキ、そしてビール。
「……え?」
義父の顔が固まりました。
アスカさんも思わず絶句。
「せっかく退院したんだから、好きなものたくさん食べてね」
義母はそう言って、義父の皿に唐揚げを盛り始めました。
糖質も脂質も、まったく気にしていない様子です。
ずっとそうなんだ
アスカさんがこっそり義父に声をかけました。
「お義母さん、糖質や脂質のこと本気で理解してないんじゃ……」
すると、義父はポツリと一言。
「ずっとそうなんだ」
その言葉に、どこか諦めのような響きが。
結局、義父はその日ほとんど食事に口をつけず。
後日、通院先で管理栄養士による“家族栄養指導”を受けることになりました。
夫婦で学び、ようやく食事制限の必要性を理解したそうです。
愛情と無理解の紙一重
「せっかくの退院祝いが、こんなことになるなんて」
アスカさんは、複雑な気持ちでその日を振り返ります。
義母の気持ちは本物の愛情。
でも、理解がなければ逆効果になってしまう。
家族の健康を守るって、こんなにも難しいのだと。
アスカさんはあの日、身をもって実感したのでした。
【体験者:50代・女性会社員、回答時期:2025年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:神野まみ
フリーランスのWEBライター・コラムニスト。地域情報誌や女性向けWEBメディアでの執筆経験を活かし、医療・健康、人間関係のコラム、マーケティングなど幅広い分野で活動している。家族やママ友のトラブル経験を原点とし、「誰にも言えない本音を届けたい」という想いで執筆を開始。実体験をもとにしたフィールドワークやヒアリング、SNSや専門家取材、公的機関の情報などを通じて信頼性の高い情報源からリアルな声を集めている。女性向けメディアで連載や寄稿を行い、noteでは実話をもとにしたコラムやストーリーを発信中。