娘と回転寿司へ
これは娘が3歳の時に回転寿司へ行った時のことです。
このお店ではタッチパネルで注文した商品がレーンで運ばれてくるシステム。
レーンは席ごとに分かれているわけではなく、両隣とつながっているため、届いた商品はすぐに受け取る必要があります。
娘のわがまま
前半はレーンに届いた商品を私が受け取ってスムーズに食事をしていたのですが、まだ3歳の娘は徐々に食事に飽きて来て「〇〇ちゃん(娘の名前)が取るもん」と駄々をこね始めました。
こうなってしまうと自分で取るまで言うことを聞きません。
「ママと一緒に取ろうね」と安全に気を付けて取ろうとしてみたのですが、1人でやりたい娘は納得できず……。
「ひとりでやる!」と言ってお皿に手を伸ばした娘を「ちょっとまって!」と止めようとしたその時でした。
ハプニング
娘がお皿に手をかけ取ろうとした瞬間、勢いよくレーンが動き始めてしまったのです。
「しまった!」と思った私がレーンに乗ったままのお寿司を追いかけようと立ち上がった時、お皿はバランスを崩し、ネタがレーンの外に飛び出してしまいました。
そして飛び出したネタはお隣の席の高齢女性のカバンに当たってしまったのです……。
私はすぐさま娘と隣の席へ向かい、その女性に謝罪、カバンのクリーニング代を支払いたいと申し出ました。
温かい言葉
しかし、その女性はクリーニング代の申し出を断り「自分で取ろうとするなんてママの役に立とうとしているのね。立派じゃない」と、娘を褒めてくれたのです!
そのうえ「子どもの失敗は成長に欠かせないスパイスよ。気にしないで」と大きな懐で許してくれました。その優しさに思わず涙がこぼれそうになりました。
その後席に戻り食事を再開したのですが、先に食事を終えた先ほどの高齢女性がこちらへ向かってきました。
そして「おばあちゃんは使いこなせないからどうぞ」と、迷惑をかけてしまった娘にたいしてガチャガチャで当たったキーホルダーをプレゼントしてくれたのです。
日々子育てにいっぱいいっぱいで周りが見えなくなることもありますが、周囲の大人に守られて子育てができているんだと実感しました。
この出来事から、私自身も周囲の人にたいして誠実で、優しさを分け与えられる人間でありたいと改めて思うようになりました。
【体験者:30代・女性主婦、回答時期:2025年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Emi.A
夜の世界での接客業を経て、会社員に転身。その経験を生かして、男女の人間関係を中心にコラムを執筆。結婚と出産の際に会社員として苦労した経験を経て、働く母親世代の思いにも寄り添うべく、執筆業専門に転身。現在は、男女関係、ワーキングマザーのリアルを描くライティングを行う。