「昔はこうだった」「私の時代はね」……気付けば、つい口にしてしまう言葉。でもそれは、今を生きる子どもたちの自由な発想や可能性を妨げてしまう恐れもあるようです。今回は、筆者の知人が孫と接する中で体験したエピソードをご紹介します。
「ばあば、この絵、すごいね! いろんな色があるのに、みんな喧嘩してない! 僕もこんな絵を描きたいなぁ」
興奮気味に言う孫を見て、私はハッとしました。
私には色の羅列にしか見えなかったけれど、孫の目には自由に色が踊る世界が映っていたのです。
決め付けないことで見える景色
孫は、常識や固定観念に囚われず、自分の感性で自由に作品を受け止めていました。
「決めつけてはいけない。もっと柔軟な心で、新しいものを受け入れるべきなんだ」と、孫と現代アートが私に教えてくれました。
それ以来、私は孫が何かを見せてくれても、「昔はこうだった」「こうあるべき」という言葉を飲み込み、「面白いね!」「どんな気持ちで描いたの?」と、孫の自由な発想を肯定する言葉を探すようにしています。
孫の輝く瞳は、私の古い常識がどれほど視野の狭いものだったかと反省させてくれます。
孫は私にとって、自由な心を持つことの素晴らしさを教えてくれる、最高の先生なのだと、今では思うのです。
【体験者:70代・女性主婦、回答時期:2025年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。