お気に入りの服で公園へ
先日、5歳になる娘と近所の公園へ出かけたときのことです。
その日、娘は朝からご機嫌で、自分で選んだお気に入りの服を身につけていました。
鮮やかな色合いで、ちょっぴり個性的なデザイン。
周りのお友達とは一味違う、娘らしいセンスが光る一着です。
公園に着くと、娘はブランコに一直線。
楽しそうに遊ぶ娘の姿を見守りながら、私もホッと一息ついていました。
まさかの心無い一言
娘がブランコを楽しんでいると、偶然、隣のブランコに、娘と同年代の子どもを連れた顔見知りのママがやってきました。
そして、挨拶を交わした次の瞬間、そのママが娘の服をまじまじと見て、こう言ったのです。
「あら~なんでそんな変な服着てるの? もっと可愛い服たくさんあるのにねぇ」
私は耳を疑いました。
まさか、子どもの服に対して、面と向かって「変」だなんて言うとは。
しかも、同じ子育て中の人から、こんな言葉を聞くとは想像もしていませんでした。
娘もショックを受けたようで、ブランコの手を止めて俯いてしまい、その場の空気が凍りつきました。
追い打ちをかけるように……
咄嗟に「娘が自分で選んだお気に入りの服なんです」と作り笑いで返した私。
しかし、相手のママは「でも、もっとこう……女の子らしい可愛いのとか、あるじゃない? うちの子は絶対そんなの嫌がって着ないわ~」と、さらに追い打ちをかけるような言葉を続けたのです。
そのとき、私は「この人とは価値観が違いすぎる」と強く感じました。
子どもの個性や選択を尊重する気持ちが、この人にはないのだと。
好みの違いはあって当然です。
でも、それを本人に伝える必要はないはず。
ましてや、傷つけるような言い方をするなんて。私には到底理解できませんでした。
娘のために
よほど悲しかったのか、娘はその後も元気がなく、小さな声で、「もう帰りたい……」と言い出しました。
帰り道、私が「自分で可愛いって思った服が1番可愛いんだよ! 気にしなくていいからね」と何度も伝えると、娘は少しずつ笑顔を取り戻してくれましたが、私の中にはモヤモヤとした感情が残りました。
この一件以来、私は公園でそのママを見かけても、あえて距離を置くようにしています。
子育てをしていると、さまざまな価値観に出会います。
子どもの個性を守るためには、無理に付き合わない勇気も必要だと感じた出来事でした。
【体験者:30代・女性主婦、回答時期:2025年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。