ショッピングモールで買い物中、知らない男の子に突然「待っててや!」と声をかけられた筆者の夫。その理由はとってもやさしくてかわいいものでした。男の子の無邪気な行動に、思わず笑顔がこぼれた心温まる出来事です。

突然の声かけ

夫と二人でショッピングモールを歩いていたときのことです。
5歳くらいの男の子がニコニコしながら近づいてきて、夫のことをじっと見つめていました。
すると突然、夫の腕をつかみ「ねえねえ、ちょっと待っててや!」と言うのです。
思いがけない声かけに夫は「え?」と固まり、私たちは顔を見合わせてキョトン。
男の子はそのまま「待っててや〜!」と言いながら、走り去ってしまいました。

戸惑う私たち

一体何だったんだろう?
私たちは困惑しながら、その場で立ち尽くしていました。
やがて、少し離れた場所から男の子が父親らしき男性と、弟と思われる小さな男の子を連れて戻ってきたのです。

ようやくわかった理由

「ほら見て!」
男の子は弟の肩を押しながら、夫を指さしました。

その瞬間、ようやく理由がわかりました。
夫のTシャツには、子どもたちに人気のキャラクターが描かれていたのです。
男の子は得意げに言いました。
「弟は、〇〇(キャラクター)が大好きやねん!」
どうやら、“弟に見せてあげたい”一心で私たちをその場に待たせていたようです。
その純粋でまっすぐな気持ちに、心が温かくなりました。

心に残る余韻

夫は照れくさそうにニヤニヤ。
男の子のお父さんは少し恥ずかしそうに「すみません、子どもが失礼を……」と頭を下げました。
けれど、私たちにとってはむしろ嬉しい出来事。
子どもが成人し、一緒にショッピングモールを歩くことも少なくなった今、あのときの男の子の無邪気な笑顔が、どこか懐かしく心に残っています。
そして、夫がそのTシャツを着るたびに、あの日の「待っててや!」という声がよみがえり、思わず笑ってしまうのです。

【体験者:50代・筆者、回答時期:2025年10月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒヤリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:大下ユウ
歯科衛生士として長年活躍後、一般事務、そして子育てを経て再び歯科衛生士に復帰。その後、自身の経験を活かし、対人関係の仕事とは真逆の在宅ワークであるWebライターに挑戦。現在は、歯科・医療関係、占い、子育て、料理といった幅広いジャンルで、自身の経験や家族・友人へのヒアリングを通して、読者の心に響く記事を執筆中。