知人A子の息子さんは、海外駐在中。A子が様子を見に行くと、そこには家事をする息子さんの姿が。「お嫁さんは?」と聞くと──。

海外駐在中の息子

私の息子は海外駐在を始めて間もないです。お嫁さんは仕事を辞め、まだ幼い孫たちとついて行きました。息子の会社は駐在員に手厚いサポートがあると聞いていたものの、心配なので様子を見に行くことにしました。

息子の家事姿に思わず「お嫁さんはどうしたの?」

息子の駐在先に着いた日の夕方、息子は仕事から帰ってきましたが、お嫁さんの姿がありません。息子はそのまま慣れた手つきで夕食の準備を始めます。

「お嫁さんの方が時間があるはずなのに、どうして息子が夕食の準備?」と驚いてしまい、息子に「お嫁さんはどうしたの?」と聞きました。

すると「子どもたちと出かけているよ」と。なんでも、コミュニティ作りに一生懸命なんだとか。「お嫁さんは息子をサポートするためについてきたんじゃないの?」と、家事を息子任せにしていることに、私は心の中で納得できずにいました。

私の怪訝そうな顔を見た息子は、「仕事を辞めてついてきてもらって、友達は子どもたちだけじゃなく、嫁さんにも必要でしょ。慣れない環境で、情報収集も大事だし。家事は出来る方がやるよ」と続けました。

息子の言葉を受けて感じた、お嫁さんの覚悟

息子の言葉を聞いて、私は反省。

確かにコミュニティ作りは、慣れない土地の情報を知る上でも、悩みを共有できる友人を作る上でも大事なこと。そして、文化も言語も違う土地では、とても勇気のいることだと想像します。お嫁さんの、ここで生活していくための覚悟を感じましたし、それこそ「息子のためにありがとう」という気持ちになりました。家事しか見ていなかったことを反省……。

その日は息子と一緒に夕食を作り、帰宅したお嫁さんと孫たちと一緒に食べました。
息子夫婦の新たな暮らしを、私は口を出さず、応援していきたいと思います。

【体験者:60代・女性主婦、回答時期:2025年10月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Emma.I
長年人事業務に携わり、働き続ける人々の本音や葛藤に触れてきたライター。
現在は仕事や自身の育児を通じて得た経験を元に、誰かの心に寄り添い、クスッと笑えるエピソードを執筆中。
特に、女子中高出身者の視点やグローバル企業出身者の視点からの記事を得意とする。