相手の助けになりたくて、喜ぶ顔が見たくて、とおこなっている行動が、裏目に出てしまうのは誰も得をしないとっても悲しいことです。そんな悲しいすれ違いが、実際に筆者と筆者の実の母親との間で生じてしまいました……。今回は筆者自身のエピソードを紹介します。

私は結婚して家を出ているものの、結婚後も実家から車で10分程度の近距離に住まいを構えています。

もともと母とは仲が良く、近距離に住んでいることもあって、実家に行ったり、母と一緒に出かけることもしばしば。

母と一緒にいるときにお昼時や夕飯時になると、決まって母は私たちを食事に誘ってくれ、御馳走してくれます。
ほかにも、一緒にいるときに欲しいものがあると「お母さんが買ってあげるよ~」とお金を出してくれることも少なくありません。

遠慮

母から食事や物を支払ってもらう機会があまりに多いため、私と夫は『母の負担になっていないか』と気になるようになりました。

そういった気持ちから「今日は私たちに御馳走させて?」「自分たちで買えるよ」と申し出るのですが、母は私たちの申し出を断固拒否!
「お母さんといるときくらい甘えときなさい~」と頑なに受け取ってくれません。

母と会いたい気持ちはあっても、母の負担になってしまうのではないかという気持ちはどんどん大きくなっていき、どうすればよいのか悩むようになりました。

本音

解決策が見つからないまま過ごしていたある日、夫が母に「こないだもね、お義母さんを誘いたいなと思ったことがあったんですけど、会ったら絶対に御馳走させてしまうのが忍びなくて誘えなかったんですよ~」と話しました。

すると母はかなり衝撃を受けた表情で黙り込み、しばらくして「私、誘ってもらえないのが一番寂しいわ~」と話してくれました。

これはいいチャンスだと思い『母に援助してもらいたくて会っているわけではない』『助かると感じてはいるが、頻度が高く負担になりたくない』と私たちの本音を打ち明けることに。

ようやく母に私たちの気持ちが伝わり、それ以降はときどき私たちが御馳走することを受け入れてくれるようになりました。

【体験者:30代・女性自営業、回答時期:2025年10月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Emi.A
夜の世界での接客業を経て、会社員に転身。その経験を生かして、男女の人間関係を中心にコラムを執筆。結婚と出産の際に会社員として苦労した経験を経て、働く母親世代の思いにも寄り添うべく、執筆業専門に転身。現在は、男女関係、ワーキングマザーのリアルを描くライティングを行う。