筆者の話です。
母はどんなに忙しくても、寝込むことのない人でした。
熱を出しても家事をこなし、文句ひとつ言わない。そんな母を「当たり前に元気な人」だと思っていました。
けれど、退職後に体調を崩し、何度も入院するようになって初めて気づいた母の優しさ──。

「母が寝込まなかった理由」に気づく

私は実家から通勤するようになり、家事の手伝いを始めました。
毎日の買い物、掃除、食事の準備──それらをこなすうちに、母がいかに家族を支えてきたかを痛感します。
家の中から、ふっと明かりが消えたように感じられました。

どんなに疲れても寝込まなかったのは「倒れたら家族が困る」と知っていたから。
自分の体調よりも家族を優先してきた母の強さは、ただの我慢ではなく、深い愛情だったのだと思いました。

「当たり前の笑顔」がくれた支え

入院中の母を見舞うと「あなたが来てくれるだけで助かるよ」と笑ってくれました。
その笑顔を見た瞬間、これまでの母の「元気さ」は、私たちを安心させるためのものだったのだと気づいたのです。

母が「寝込まなかった理由」──それは、誰よりも家族を想っていたから。
当たり前のように思っていた日々ほど、本当は母の頑張りに支えられていたのだと痛感した出来事です。

【体験者:50代女性・筆者、回答時期:2025年10月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。