筆者の話です。
母はどんなに忙しくても、寝込むことのない人でした。
熱を出しても家事をこなし、文句ひとつ言わない。そんな母を「当たり前に元気な人」だと思っていました。
けれど、退職後に体調を崩し、何度も入院するようになって初めて気づいた母の優しさ──。
母はどんなに忙しくても、寝込むことのない人でした。
熱を出しても家事をこなし、文句ひとつ言わない。そんな母を「当たり前に元気な人」だと思っていました。
けれど、退職後に体調を崩し、何度も入院するようになって初めて気づいた母の優しさ──。
当たり前のように「元気」だった母
母は、どんな日も寝込むことのない人でした。
朝から洗濯や掃除をこなし、仕事へ出かけ、夜になれば夕食を整える。
熱があっても、誰にも気づかれないように動き続けていたのです。
「お母さんは本当に丈夫だね」と言うと「寝てる暇なんてないでしょ」と笑う母。
私はその言葉を冗談のように受け止め、深く考えることもなく「母は元気な人」だと信じて疑いませんでした。
母が「倒れた日」に感じた不安
ところが、母が退職してしばらく経った頃、体調を崩して入院することが増えました。
病院とは誰より縁遠かったはずなのに、ベッドの上で小さく見える母を見て、信じられない気持ちが溢れます。
それでも自分のことより家のことを心配する母に促されて、実家に帰ると、父は食事も後片づけも手が回らず、洗濯物が山のようにたまっていました。
その光景を目の当たりにして初めて「母がいないと家はこうなるのか」と言葉を失ったのです。