今回は、知人のD子さんにお聞きしたエピソードをご紹介します。
ある日帰宅したD子さんは、自宅の前で、衝撃の光景を目にしました。
なんと見知らぬカップルが、彼女の家の前でウェディングフォトの無断撮影をしていたのです!
開き直る非常識夫婦に、毅然と対応したD子さんですが――。

自慢の我が家

私の家は、少し変わった洋館風のデザインをしています。
レトロな外観にアイアンの門扉、レンガのアプローチ。
近所でも「まるで海外のお城みたい」とよく言われる自慢の我が家を、誇らしく思っていました。

「うちの前で、何してるの!?」

ある日のことです。
買い物から帰ってきた私の目に、信じられない光景が飛び込んできました。

なんと、自宅の前でウェディングドレス姿の花嫁と、タキシード姿の新郎が写真撮影をしていたのです!
本格的なカメラ機材や照明、反射板を手にしたスタッフらしき人たちも数人。

「えっ……何これ」
最初は勘違いかと思ったのですが、何度見ても、私の家をバックに撮影しているようなのです。

私は、慌てて声をかけました。
「すみません! うちの前で何をしているんですか!?」

ヤバすぎる新郎新婦

花嫁は、満面の笑みで答えました。
「ウェディングフォトの撮影なんです〜♡ ここのお宅、前から素敵だなって思ってて! 絶対にここで撮りたいってカメラマンさんにお願いしたんです!」

……いやいやいや。
まさかの無許可撮影!?

さらに信じられないことに、新婦は続けました。
「住人の方に会えるなんて嬉しいです♪ もしよければお庭とか、できたらお家の中でも撮影させていただけませんか?」

は?
あまりの図々しさに、思わず息を呑みました。

「ダメに決まってるでしょ! それから、撮影データはすぐ削除してください!」

「ここ、公道ですよね?」

その場にいたカメラマンは状況を察し、慌てて頭を下げると、撮ったデータをその場で削除してくれました。
聞くと、SNS経由でこの夫婦から直接依頼を受けたフリーのカメラマンだったようです。

ところが、新郎新婦は納得しません。
「せっかくいい写真がたくさん撮れたのに! 撮影代だって払っているんですよ!」
「ここは公道で、敷地には入ってないですし、外観が写ってるだけでしょ! 別にいいじゃないですか!」
まるで自分たちが被害者のような口ぶり。

さすがに私も我慢できず、きっぱり言い返しました。
「文句があるなら、うちの弁護士を呼びます。敷地に入っていなくても、うちの家の外観を背景にして撮っていて、表札も写っていますよね? これは立派なプライバシー侵害です。弁護士より警察の方がいいですか?」

ことの重大さを今さら認識したのか、新郎の顔がみるみる青ざめます。
結局、新郎新婦も渋々ながら謝罪をすると、機材をまとめて立ち去っていきました。

非常識な人ほど、怖いものはない

家に帰ると、色々な感情が、疲労感とともに押し寄せてきました。
あの場では強気な姿勢で彼らに接しましたが、「怒り」と同じくらい「恐怖」も感じていたのです。

知らない人たちと揉め、しかもその相手はこちらの自宅住所を特定しています。
あんなに非常識な相手です。
何か報復をされたとしても、おかしくはありません。
そう考えると、背筋が寒くなりました。

その夜、夫と相談して、防犯カメラを増設。
門の前にも「無断撮影・侵入禁止」のプレートを設置しました。

幸いにも、あれから同じようなことは起きていませんが、「非常識な人ほど、怖いものはない」──そう感じた出来事でした。

【体験者:40代女性・専業主婦、回答時期:2025年10月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:大城サラ
イベント・集客・運営コンサル、ライター事業のフリーランスとして活動後、事業会社を設立。現在も会社経営者兼ライターとして活動中。事業を起こし、経営に取り組む経験から女性リーダーの悩みに寄り添ったり、恋愛や結婚に悩める多くの女性の相談に乗ってきたため、読者が前向きになれるような記事を届けることがモットー。