マウントママへのモヤモヤ
ママ友のY美さんは、明るくて社交的ですが、何かにつけて人と張り合ってくるタイプでした。
子どもの習い事の話をすれば「うちも同じのやってる!」「うちも前から考えてたんだよね」、服のブランドや旅行先の話題でも、必ず「うちもそう!」「うちの方がもっと」と被せてくるのです。
最初は笑って受け流していたものの、だんだん「どうしてこんなに競ってくるの?」と、イライラが募っていきました。
ついには自分の負けず嫌いが発動してしまい、Y美さんが張り合ってくると私も言い返してしまうという悪循環が時々生まれるようになってしまったのです。
親友からの「衝撃の一言」
ある日、学生時代からの親友に、私はY美さんへの愚痴をこぼしました。
「もう、あの人ほんとにむかつく! 何でもかんでもマウントをとって、毎回張り合ってくるんだもん!」と、日頃の不満を一気にぶちまけると、親友は苦笑しながらこう言いました。
「でもさ、その人の気の強さ、あんたそっくりじゃん」
その言葉を聞いた瞬間、私は言葉を失いました。
否定しようとしたけれど、不思議と何も言えなくなってしまったのです。
思い当たることが、あまりにも多すぎたからかもしれません。
気づいてしまった「鏡」の存在
たしかに、私自身も負けず嫌いな一面がありました。
子どもの習い事も、他の家庭に遅れを取りたくなくて選んだものだったし、自分の服のセンスだって、どこか「人の目」を気にしていたのです。
「もしかしたら、Y美さんと私は、実は鏡のような関係だったのかもしれない」
そう気づいてから、不思議とY美さんに対して腹が立たなくなりました。
むしろ「似た者同士なんだな」と思うと、少し笑えてきました。
彼女の行動は、私自身の内面を映し出していただけだったのだと。
人間関係を変えるのは、自分
そう気づいてからは、肩の力が抜け、Y美さんにも自然体で接することができるようになっていきました。
「うちもそれ考えてたよ」と言われても、「そうなんだ、一緒だね〜」と軽く流せるようになったのです。
すると、あれほど棘のあったY美さんの態度が、少しずつ柔らかくなっていきました。
私が張り合わなくなったことで、彼女も肩の力を抜いてくれたのかもしれません。
気がつけば、Y美さんと私は、以前よりもずっと気楽に話せる関係になっていました。
人間関係のモヤモヤって、相手を変えようとするより、自分の見方を変えるだけでも驚くほど軽くなるものなのですね。
張り合うよりも、似た者同士で笑い合う方がずっと心が楽だったのだと、実感した出来事でした。
【体験者:30代・女性主婦、回答時期:2025年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。