憧れの「妹」との出会い
結婚前の顔合わせで初めて会った夫の妹は、私にとって理想の「妹」でした。
2つ年下で、華奢で愛らしい雰囲気。
「私、ずっとお姉ちゃんがほしかったの♡」と笑顔で私に懐いてくれて、ひとりっ子だった私はすっかり心を許してしまったのです。
まるで本当の姉妹のように親しくなれると信じて、これから家族として絆を深めていけると思っていました。
頼られる姉から便利屋へ
しかし、そんな理想の関係は最初の頃だけでした。
次第に、義妹の甘えと要求がエスカレートしてきたのです。
「お姉ちゃん、どうしてもほしい限定のバッグがあるんだけど、今金欠なんだ。だからお金貸してくれない? もちろんすぐ返すよ!」
「お姉ちゃん、旅行の予約、代わりにやってくれない? ついでに旅程も組んで!」
「お姉ちゃん、会社のプリンターが壊れてるから、この資料コピーしてきてほしいの」
最初は「頼られている」と嬉しかった私も、度重なる「お願い」に徐々に違和感を覚え始めました。
貸したお金は返ってこないし、仕事の合間に妹に頼まれた雑用をこなすのは、正直かなり負担でした。
夫に愚痴をこぼしても、「妹は甘えん坊だからね」と苦笑いするだけ。
私の心に、小さな苛立ちが積もっていきました。
限界を超えた日
やがて、義妹の「お願い」は義実家の面倒ごとにまで及ぶように……。
「お姉ちゃん、来週実家の大掃除があるんだけど、私、デートの予定が入っちゃって。お兄ちゃんは仕事だし、お願いしていい~?」
「ママの誕生日、お姉ちゃんが選んでくれない? お金は今度払うから、私と連名にしてね」
平然と丸投げし、自分勝手な条件までつけてくる義妹の厚かましさに、私はついに限界を迎えました。
「いいお姉ちゃん」をやめたら……
義妹と顔を合わせる機会があったとき、私は義妹に向かって、穏やかに、でもはっきりと言いました。
「私だって忙しいし、自分の時間も大切にしたい。これ以上、あなたの“都合のいいお姉ちゃん”にはなれないよ」
義妹はみるみる顔を赤くし、私の言葉を遮るように「もういい!」と叫んで、その場を立ち去ってしまいました。
その夜、私は夫にこれまでの経緯と、義妹への正直な気持ちを全て話しました。
私の疲弊しきった様子を見て、夫も事の重大さをようやく理解したようです。
翌日、夫が義妹に厳しく注意してくれましたが、義妹は夫に対しても一切耳を貸さず反発したそう。
それ以来、義妹とは連絡をとっていません。
きっと義妹は、私のことを最初から「都合のいいお姉ちゃん」としか見ていなかったのでしょう。
寂しさよりも、ようやく肩の荷が下りてホッとしたというのが正直な気持ちです。
【体験者:20代・女性会社員、回答時期:2025年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。