義妹の思いやり
私の弟の嫁である義妹は、誰に対しても気配りができるとても良い人です。
ある日、母が病院に検査に行く話をしていたときのこと。
義妹はすぐに「お義母さん、その日、私が付き添いますよ」と言いました。
さらに「検査で疲れるでしょうから、運転は私がします」とも。
あまりに自然で温かい言葉に、私は思わず「なんて良い義妹なんだろう」と感心しました。
自分を振り返って
その一方で、ふと胸がチクリと痛みました。
私はこれまで、姑が「病院に行く」と話しても聞こえないふり。
できれば関わらずに済ませたいと思っていました。
嫁姑関係を悪化させたくないからこそ、あえて距離を取っていたつもりでしたが、それは単なる「逃げ」だったのかもしれません。
義妹の姿を見て、そんな自分を少し恥ずかしく感じたのです。
思い切って誘ってみた
私も義妹を見習って「素直でかわいい嫁をやってみよう」と心に決め、思い切って姑に声をかけてみました。
「お義母さん、一緒に買い物に行きませんか?」
その瞬間の姑の顔は、今でも忘れられません。
まるで娘に誘われたかのように目を輝かせ、「まあ、うれしい!」と大喜び。
当日、姑は終始上機嫌で、私にまであれこれ買ってくれました。夫は男二人兄弟。
姑はずっと“嫁と買い物をする日”に憧れていたのだそうです。
一歩踏み出す勇気
その日をきっかけに、私たちは定期的にランチや買い物を楽しむようになりました。
最初は「良い嫁を演じてみよう」という気持ちでしたが、一緒に過ごすうちに本当の情が生まれ、今では心から仲の良い関係です。
義妹のおかげで、思いやりを「言葉」ではなく「行動」で示すことの大切さを学びました。
ほんの小さな勇気が、人と人との距離をやさしく縮めてくれるのだと感じています。
【体験者:50代女性・会社員、回答時期:2025年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒヤリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:大下ユウ
歯科衛生士として長年活躍後、一般事務、そして子育てを経て再び歯科衛生士に復帰。その後、自身の経験を活かし、対人関係の仕事とは真逆の在宅ワークであるWebライターに挑戦。現在は、歯科・医療関係、占い、子育て、料理といった幅広いジャンルで、自身の経験や家族・友人へのヒアリングを通して、読者の心に響く記事を執筆中。