筆者の体験談です。
秋の一大イベント
娘が通う小学校では、秋に音楽発表会という行事が開催されます。
各学年で合奏や合唱など音楽にちなんだ発表をする一大イベントで、先生や児童たちがこの日に向けて入念な準備を行います。
そんな中で、合唱のピアノ伴奏をする児童を学年から一人選ぶのですが。
ある年、娘がピアノ伴奏をやりたいと立候補したことを聞きました。
娘の他にも立候補をしている子が数人いるため、後日オーディションが行われることになったようです。
娘は合唱曲のピアノ伴奏用の楽譜を持ち帰り、家で練習を始めました。
学校から帰って来ると真っ先にピアノに向かい、何度もつっかえながら毎日一生懸命頑張っていました。
結果は……
そしてオーディションの結果。
残念ながら娘の希望は叶わずでした。
オーディション結果が出た日、
「ダメだった」
と言いながら悔し涙を見せた娘。
一つの席をかけて数人が実力を競う、という厳しい世界を身をもって知ったようです。
そんな娘の落ち込む姿を見て、親の私も苦しくなったものでした。
娘の成長に涙
やがて迎えた音楽発表会当日。
指揮者の先生を真剣に見つめ、大きな口を開けて合唱曲を歌う娘の姿がありました。
彼女は引っ込み思案な性格で恥ずかしがり屋、ピアノの伴奏に立候補したと聞いた時はとても驚きました。
そしてつっかえながらも毎日練習を頑張っていた姿。
ダメだったと泣いた後に、気持ちをしっかり切り替えて合唱に臨む姿勢。
これら全てに娘の成長を感じ、力強くすばらしい合唱を聴きながら目頭が熱くなったのでした。
【体験者:40代・筆者、回答時期:2025年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:田辺詩織
元医療事務、コールセンター勤務の経験を持つ在宅ワーカー。文学部出身で、文章の力で人々を励ましたいという思いからライターの道へ。自身の出産を機に、育児ブログを立ち上げ、その経験を生かして執筆活動を開始。義実家や夫、ママ友との関係、乳幼児期から中学受験まで多岐にわたる子育ての悩みに寄り添い、読者が前向きになれるような記事を届けている。