友人Aの話です。夫は昭和気質の亭主関白タイプ。「お茶!」と言われれば体が勝手に動く日々を送ってきました。けれど近頃思うのです。あなたが亭主関白でいられるのは、私が寛容でいるから。
もしその寛容さにリミットがあるとしたら──。

亭主関白が「当たり前」の夫

Aの夫は、昔ながらの亭主関白タイプ。家に帰ると縦のものを横にもしません。結婚当初から「お茶!」「新聞!」といった指示は当たり前で、Aも自然に体が動くようになっていました。子どもが生まれてからも状況は変わらず、食事や家事はすべてA任せ。夫は「してもらうのが当然」という空気をまとっていたのです。

家族全員ダウンでも台所に立つ私

ある冬、夫がインフルエンザにかかりました。家族全員にうつったものの、自分だけが回復すると「腹減った、飯は?」と当然のように口にします。Aが「みんな熱があるのに」と伝えても「俺の方が高熱だったのでしんどかった」と言い張るばかり。結局、Aはふらふらしながら台所に立ち「なんで私ばかり」と胸の中でため息をつきました。熱で頭がぼんやりする中でも「夫には期待しても無駄」と諦めの気持ちがよぎり、しんどさが倍増したのです。

友人の一言にハッとした瞬間

ところが、職場でその話をしたときのこと。同僚や友人たちから「信じられない!」「よく耐えられるね」とドン引きされ、「私なら離婚する!」という驚きの声まで上がったのです。
自分の中では「日常」だったことが、他人にとっては「異常」に映ると知り、ハッとしました。「私が受け入れてきたから、夫は亭主関白でいられるのかもしれない」と気づいた瞬間、長年の我慢がずしりと重くのしかかりました。

寛容さの先にある「リミット」

それでも「お茶!」と言われれば、体が勝手に動いてしまうA。長年の習慣はそう簡単には変えられません。けれど心の奥でつぶやきます。
あなたが亭主関白でいられるのは、私が寛容に受け止めているから。子どもたちも手が離れ、自分で働いたお金も自分に使えるようになった今、もし、その寛容さにもリミットがあるとしたら……。夫よ、覚悟が必要かもよ?

【体験者:50代・女性主婦、回答時期:2025年10月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。