共働き夫婦にとって、子供のお弁当づくりは多かれ少なかれ負担になることも......。お弁当は子ども一日の中で、大きな楽しみの一つ。でも、毎日作るのはなかなか大変です。
今回は小学生の娘のお弁当作りに悩んでいた筆者の知人・A子が感謝した、ある救世主のほっこりエピソードをご紹介します。

私立小学校、お友だちとお弁当格差が......

A子の娘は、私立小学校に在籍しています。この小学校はお嬢様学校で、親御さんは専業主婦という家庭も少なくありません。

学校に給食はなく、児童はお弁当を持って登校しますが、ママが作ったかわいらしいお弁当をいつも持ってきている子が多いのです。コロッケやエビフライを朝から揚げるママや、キャラ弁を毎日のようにつくるママも......。一方、A子は夫婦で交代してお弁当を作っていて、娘が小学校に入学してからの3年間続けていますが、二人ともお弁当作りに慣れません。

A子は独身時代に夕食の残りものをお弁当箱に詰めて職場へ持って行っていたくらいで、小学生の子どものお弁当とは別ものです。夫は栄養バランスを考えてお弁当を作っているものの、娘からの評価は低め。さらに娘は「ママが作ったお弁当を持って行きたい」という思いも胸に秘めている様子。

娘から「パパが作ったお弁当はいや。ママが毎日作って」と言われたときには夫婦で話し合い、A子がお弁当を毎日担当し、夫は他の部分でフォローすることにしました。でも、A子の仕事の都合によってはむずかしい日もあります。

娘の思いを汲み取ってくれた義母

A子は近くに住む義母に、娘のお弁当について相談しました。長らく専業主婦をしている義母は、A子の救世主になってくれたのです。

義母はハンバーグやマカロニグラタン、サラダ、かわいらしく切ったチーズなどを数日置きにまとめて届けてくれるようになりました。また、娘が喜びそうなデザインのお弁当箱やお弁当に入れるカップを買って来て、おかずが多少質素でもかわいらしく見える工夫まで。夫には姉がおり、義母は姉の子育てで女の子のお弁当に慣れていたのです。

「ママのお弁当」にこだわっていた娘でしたが、「おばあちゃんのお弁当」もうれしいようで、大喜び。

さらに、お弁当のおかずを届けてくれるのは娘が留守番している時間帯であることも多く、ありがたいことでした。

A子は「外でバリバリ働きたい」と高校生頃から考えていて、それを実行してきました。その半面、今回のことで、長年主婦をしてきた義母に尊敬の念が湧きました。義母を通して専業主婦ならではの知恵や温かさに触れると同時に、同じく専業主婦として自分を育ててくれた実母にも改めて感謝するようになったのでした。

【体験者:40代・会社員女性、回答時期:2025年10月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:太田あやこ
大学でジェンダーや女性史を学んだことをきっかけに、専業ライターとして活動中。自身の経験を活かしながら、幅広い情報収集を行い、読者に寄り添うスタイルを貫いている。人生の選択肢を広げるヒントを提供し、日々の悩みに少しでも明るさをもたらせるよう、前向きになれる記事づくりに取り組んでいる。