知人A子さんが子どもの音楽会で、非常識な行動をするママ友に注意したことで、周囲の空気を変えたエピソードです。迷惑行為に我慢せず声を上げた勇気が共感を呼び、会場に静けさと一体感を取り戻した、成長と気づきの一日でした。

音楽会の日

小学校の体育館で開かれる音楽会。子どもたちは何週間も練習してきた成果を披露する大切な日でした。私は朝から少し緊張しながらも、わが子の姿を楽しみに会場に向かいました。ママ友たちとも顔を合わせ、「楽しみだね」と言い合いながら席につきました。会場では、演奏中の私語・撮影はご遠慮くださいとのアナウンスがありました。

非常識なふるまい

演奏が始まると、静まり返った会場に子どもたちの真剣な音色が響き渡りました。ところが、隣に座っていたママ友B子が突然スマホを取り出し、動画を撮り始めただけでなく、LINEの通知音まで鳴らしてしまったのです。さらに、「うちの子、目立ってるでしょ」と周囲に話しかける始末。集中している他の保護者や子どもたちに迷惑をかけているのは明らかでした。私は心臓がドキドキして、どうしようか迷いました。

勇気を出して伝えたこと

それでも、我が子の真剣な顔を見ていたら黙っていられなくなり思わずB子に向かって小声で言いました。
「今は子どもたちの大切な時間だから、静かにしようよ」
すると、前に座っていたお母さんが振り返り「そうですよね」とうなずいてくれました。周囲からも同意するような空気が流れ、B子はバツが悪そうにスマホをしまい、それ以上余計なことを言わなくなりました。

音楽会が終わった後、他のママ友が「よく言ってくれたね。みんな思ってたけど言えなかった」と声をかけてくれました。子どもも「ママ、見に来てくれてありがとう」と笑顔を見せてくれて、胸が熱くなりました。
あの日以来、私は「場を守る勇気を出すことは、子どものためにも大切なんだ」と実感しています。音楽会の思い出は、子どもの演奏だけでなく、自分の気持ちの成長も刻まれた大切な一日になりました。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年7月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:池田みのり
SNS運用代行の職を通じて、常にユーザー目線で物事を考える傍ら、子育て世代に役立つ情報の少なさを痛感。育児と仕事に奮闘するママたちに参考になる情報を発信すべく、自らの経験で得たリアルな悲喜こもごもを伝えたいとライター業をスタート。