最新美容への憧れ
20代後半になり、仕事にも少し余裕ができてきた頃のことでした。
ようやく自分に投資できるようになった私は、美容に夢中になっていました。
ある日、私の目に留まったのは、SNSで話題の最新美容情報。
「これさえやれば変わる!」という魅力的な謳い文句に、「これで自分ももっと可愛くなれるのでは」と心が躍りました。
価格は正直高額でしたが、SNSでフォローしている美容系インフルエンサーも「やって良かった」と発信していたため、私は試してみることを決意したのです。
母の忠告を聞き流し……
ところが、この話を母にしたところ、母は眉をひそめて「そんな急に変わるものなんてないよ。体に負担をかけるだけじゃない? やめときなさい」と反対しました。
しかし、当時の私は、母の言葉を「昔ながらの考え」と軽く流してしまったのです。
流行に敏感な私とは違い、母には最新の美容医療なんて分からないだろう。
そんな思い込みから、私は母の忠告を完全に無視して契約をしてしまいました。
これで変われると、何の疑いもなく信じ込んでいました。
期待外れの結果と止まらない出費
しかし、現実は私が期待していたものとは大きく異なりました。
体験した美容医療は、期待していたほどの効果がほとんど感じられず、むしろ肌の調子が悪くなってしまったのです。
さらに困ったことに、キャンペーンと称しながら、次々と高額なコースを勧められました。
優柔不断な私は断りきれず、気がつけばさらに多くのコースを契約し、結局は大金を失うことに……。
鏡を見るたびに、自分の顔と空っぽになった財布に溜息をつく日々でした。
母の言葉に込められた真実
そんな絶望的な状況になって、ふと母の言葉が頭をよぎりました。
「そんなすぐ効果が出るものはないよ」
あの時、素直に母の言葉に耳を傾けていれば、こんなことにはならなかっただろうと、激しく後悔しました。
母はいつだって私を心配し、真っ直ぐな愛情を注いでくれていたのに、私は「今すぐ変わりたい」という焦りに目がくらんでいたのです。
あの時の大損は、私にとって本当に苦い教訓となりました。
時には立ち止まって、身近な人の言葉に耳を傾けることの大切さを教えてくれた出来事でした。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。