筆者の友人・A美は雑貨店を経営しています。2年ほど前から売り上げがのびはじめて、店舗を拡大するタイミングでアルバイトを募集することになったのですが……。A美が同じ親として考えさせられたというエピソードをご紹介します。

アルバイトのH

私が経営する店舗で、初めてアルバイトとして採用した人は4人いました。
そのうちの3人はとても積極的に仕事を覚えてくれて、私はずいぶん助けてもらったのですが、問題だったのはもう一人のアルバイトのH。

Hは見え透いた嘘を言って遅刻したり、急にシフトに入れなくなったとドタキャンして休んだりすることが多い子でした。
当然Hは他の子よりも仕事を覚えることも遅くなり、時給UPもできない状態に。
他の子の時給が上がっているのを知ると、連絡すらしてこなくなってしまったのです。

謎の女性

Hが連絡をしてこなくなってから1ヶ月ほど経った頃、お店に50代くらいの女性がやってきました。
あまりにも険しい顔をして入ってきたため、私は瞬間的にお客様ではないと感じました。

その女性はつかつかとレジのところにいる私のところへやって来て「あなたが店長さん?」とつっけんどんな感じで言ってきたのです。

「そうです」と答えると「Hですが!」とものすごい剣幕で睨みつけてきました。
私が呆気にとられていると、その女性は鬼のような形相で、文句を言ってきたのです。

「あなた、うちの子に仕事を任せないんですって? 自分だけ教えてもらえないって悩んでるのよ! いったいどういうつもりなの!」

伝えられた真実

他にお客様もいたため、私は事務所に女性を案内し、今までの経緯を伝えることにしました。
シフト表など、Hがドタキャンをした証拠を見せ、仕事を教えたくてもできなかった事実を伝えると、女性はいきなりトーンダウン……。

しかし、女性はキッと私をにらみつけ「こんなお店はうちの子に向いていないのかもね! もう辞めさせていただきます!」と怒鳴って帰っていったのです。

同じ親として

結局、そのあとすぐにHはアルバイトを辞めることになりました。
心配なのでしょうが、Hはもう成人した年齢なのに、仕事のことまで親が口出しをしてくるのはどうなんだろうというのが正直な感想です。

私にも子どもがいます。
同じ親という立場で、自分の子どもには社会人として通用する常識をしっかりと教えていこうと思った出来事でした。

【体験者:40代女性・自営業、回答時期:2025年9月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:RIE.K
国文学科を卒業しOLをしていたが、自営業の父親の病気をきっかけにトラック運転手に転職。仕事柄多くの「ちょっと訳あり」な人の人生談に触れる。その後、結婚・出産・離婚。シングルマザーとして子供を養うために、さまざまなパート・アルバイトの経験あり。多彩な人生経験から、あらゆる土地、職場で経験したビックリ&おもしろエピソードが多くあり、これまでの友人や知人、さらにその知り合いなどの声を集め、コラムにする専業ライターに至る。