子はいつだって親の愛情を求めるもの。それは筆者自身の体験から身を持って感じることです。
今回はそんな筆者の実体験をお話しします。

ごめん、もう無理だ。私は自分の心を守ります

突然私の兄が、仕事で鬱になってしまい、しばらく休職することになったのです。
丁度家族が集まった時に兄が打ち明けてくれたのですが、その時母は、

「なんて可哀想に。鬱だなんて本当にしんどいよね」
「無理しないで、しっかり休むんだよ!」

そう目を潤ませながら、兄を応援し温かく見守る姿勢をとったのです。
その言葉を聞いて、私は頭が真っ白になりました。

十数年前、私は兄と同じ鬱だったはず。

「あの時、私にはあれだけキツく言ってきたのに? どうしてお兄ちゃんには優しいの??」

今まで兄弟差を感じてきましたが、ここまで酷いとは思いませんでした。

それ以降、私は実家へ行くのをやめました。
私のこの気持ちを正直に打ち明けたところで、きっとまた同じことになるでしょう。
母は急に来なくなったことを不審がっていましたが、私は自分の心を守る為に動くことにしました。

息子には申し訳なく思いますが、正直もう会うこともないのかもしれません。
「自分も愛してほしい」という親への期待を、もうどこか諦めて、ホッとした自分がいるのも事実です。

今後どうなるかは分かりませんが、もう私が親との距離を縮めようと思うことはないでしょう。
そして私が欲してやまなかった親の愛情は、息子にしっかり与えていきたいと思っています。

【体験者:30代・女性筆者、回答時期:2025年9月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Yuki.K
飲み歩きが趣味の元キャバ嬢。そのキャリアで培った人間観察力でコラムを執筆中。すっと人の懐に入ることができる天然人たらしが武器。そのせいか、人から重い話を打ち明けられやすい。キャバクラ勤務後は、医療従事者として活躍していたが出産を機に退職。現在はこれまでの経験で得た人間関係を取材に生かし、主に女性の人生の機微を記事にするママライター。