わが子のクラスメイト
息子の小学校での出来事です。
息子のクラスには、発達障害の傾向がある、いわゆるグレーゾーンのAくんがいました。
クラスのみんなが彼を理解しようと、温かく見守って過ごしていました。
「やり返さない子」が標的に?
ある日、息子が家に帰ってくるなり「Aくんに殴られた」と言うのです。
Aくんの特性が、全ての行動の原因ではないと理解していますが、当時の私は、Aくんの状況を知っていたため、この問題にどう向き合うべきか、深く悩みました。
その日はどうにも答えが出ず、ただ話を聞くことしかできませんでした。
そして次の日も、息子は沈んだ顔で帰ってきたのです。
「A、おればっかり殴ってくるんだ」
話を聞くと、息子いわく、Aくんは「やり返さない子」を選んで手を出していると。
小柄で気の小さい息子は、彼にとって格好の標的になっているのではないかと考えていたのです。
母親の決断と先生の言葉
その夜、私は夫と話し合いました。
「Aくんにも事情があるのかもしれない。でも、本当に息子が傷つけられているのであれば、それを見過ごすわけにはいかない」
私たちが取るべきは、Aくんを責めることではなく、息子を守ること。そして、先生に伝えることを決めました。
翌日、私は担任の先生に連絡。
先生はすでに状況を把握しており、連絡が遅くなったことを詫びてくれました。
そして、Aくんの保護者とも連携して解決策を探っているとのことでした。
先生はあくまで推測として、Aくんの行動は「やり返さない相手」への甘えからくるものかもしれないという見解を話してくれました。
親として出した【ある答え】
私は息子に伝えました。
「もしまた殴られそうになったら、大きな声で『やめて!』って言ってね。嫌なことは嫌だって、ちゃんと言っていいんだよ」
自分の気持ちと体を大切にすること。それが、息子自身を守る第一歩だと教えたかったのです。
それから数日後。
息子は「やめてって言ったら、Aくん驚いて殴らなかったよ」と報告してくれました。
私が今回学んだことは、どんな事情があろうと、自分の子どもを守る勇気を持つこと。
そして、子どもに「嫌なことは嫌だ」と主張する術を教えること。
それは、相手を否定することではなく、自分自身を肯定することにつながるのだと感じたのです。
そして、この問題に真摯に向き合い、解決に向けて動いてくださった先生とAくんの保護者の方々にも、心から感謝しています。
【体験者:40代・女性パート、回答時期:2025年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Yuki Unagi
フリーペーパーの編集として約10年活躍。出産を機に退職した後、子どもの手が離れたのをきっかけに、在宅webライターとして活動をスタート。自分自身の体験や友人知人へのインタビューを行い、大人の女性向けサイトを中心に、得意とする家族関係のコラムを執筆している。