筆者の話です。
母は施設で暮らすようになり、面会に行くと「次は服がほしい」とリクエストされます。
ところが私が選んで持っていくと「もっと赤やピンクが良かった」と言われてしまい──。
親子の好みのズレに驚きながらも、母の変化を受け止めた出来事です。

若い頃はむしろ「派手な色は似合わないからやめなさい」と私に言っていた母。
その母自身が選んでほしいと言うのだから、意外で仕方がありません。
長く一緒に暮らしていたからこそ分かると思っていた好みが、いつの間にか変わっていたのです。

分からなくなる『母の今』

母自身は「歳をとったからよ」といいますが、若い頃から洋服にこだわりを持っていた母。
今までの好みとの違いに、私の中で混乱が生まれます。

一緒に暮らさなくなってから、母の好みや気分が少しずつ見えなくなっていく。
その変化に気づくたび、親子の距離を感じてしまいます。
「ありがとう」のひと言がなかなか聞けないのも、心のどこかで寂しさを募らせる瞬間でした。

それでも選びたい気持ち

それでも私は、母の笑顔を思い浮かべながら「次はどんな服を持って行こう」と考えてしまいます。派手な色でもいい、むしろ母が少しでも楽しい気分になれるなら選ぶ意味がある。
選ぶときに迷う時間すら、私にとっては母とつながれる大切なひとときです。
好みのズレに戸惑いながらも、親子だからこそ与え合える時間があるのだと感じました。

【体験者:50代・筆者、回答時期:2025年10月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。