新婚当初、社宅に入った私は外に出るのが怖く、部屋にこもりがちでした。
思い切って子どもたちと遊んでみたら「遊び相手のお姉さん」と呼ばれるように。
意外な展開から、人間関係の輪に入るきっかけが生まれました。
窓の下は砂場
新婚早々、夫の転勤で社宅に住むことになった私。
私たちの部屋はちょうど砂場の真上で、台所の窓から見下ろすと、いつも子どもたちと母親たちがにぎやかに遊んでいるのが目に入りました。
気にしないでおこうと思っても、声が自然と耳に入ってくる。
楽しそうな様子に心は動くのに、どう輪に入ればいいのかわからず、結局ひとりで過ごすことが多かったのです。
一歩外へ
「このままではだめだ」と思い切って外へ。
砂場で遊んでいた子どもたちに声をかけ、一緒に遊んでみました。
するとすぐに打ち解け、笑い声が絶えません。
それからというもの、夕方になって夕飯の支度をしていると「Gさん出てこーい」と窓の外から呼ばれるほどに。
あっという間に、子どもたちの「遊び相手」として定着してしまいました。
遊び相手のまま?
けれど、私が本当に仲良くなりたかったのは子どもではなく、その親御さんたち。
子どもたちに呼ばれるたび「私は遊び相手でしかないのかな」と複雑な気持ちになることもありました。
母親たちの輪にはなかなか入れず、声をかけてくれるのは子どもたちばかり。
子どもたちに囲まれていながら、大人の世界とは一枚の壁があるようで、心に小さな孤独が広がっていきました。
楽しく過ごしながらも、大人同士の距離が縮まらないもどかしさを抱えていたのです。
輪の中へ
そんなある日、子どもたちの手を引いて社宅の奥様方のもとへ行ったとき「いつも遊んでくれて助かってます」と笑顔で声をかけられました。
「Gさんと遊びたい」という子どもたちの要望でお部屋に招いていただけることも。
子どもたちに慕われたことをきっかけに、奥様方との会話も自然と増えるようになっていきました。
時間はかかりましたが、気づけば私も大人の輪の中にいて。
孤独に悩んでいた日々がうそのように思えるほど、社宅での暮らしが少しずつ楽しいものへと変わっていきました。
それ以来、顔を合わせれば自然に声をかけ合うようになり、社宅での毎日がぐっと明るく感じられるようになったのです。
【体験者:50代女性・筆者、回答時期:2025年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。