赤ちゃんって、抱っこしたまま動かないでいるとぐずったり不満そうに身じろぎ出したりしますよね。娘は縦に揺れていないと寝ないタイプだったので、膝が痛くなったものです。
今回はママ友Cさんとの話をお届けします。

ランチの帰り道で

数年前のことです。
ある日、ママ友のCさんとランチをした帰り道、信号待ちをしながら話していると、おもむろにCさんの体が左右にユラユラと揺れ出しました。

左右だったり円を描いたり、不規則に揺れているので、どこか具合が悪いのかと心配になり、
「大丈夫? 体がふらふらしてるけど、めまいとかしてる?」

揺れていた訳は

するとCさんは、ハッという表情になり、次の瞬間笑顔で、
「やだ~、私揺れてた? 末っ子を抱っこしてるつもりになってたかも」

Cさんの末っ子は当時2歳になったばかり。
そういえばちょっと前までいつも抱っこ紐の中から可愛い顔を覗かせていました。

この日、Cさんは旦那さんに末っ子ちゃんを預けて来たので、一緒ではありませんでした。

「いつも抱っこ紐に入れて移動してたから、体にしみついてるのかも。無意識にやってるんだわ」

もうここまで来ると、母親っていう職業病だよね~。
2人で笑い合いながら歩いたものです。

温かい光景

この出来事の後、もしかして? と信号待ちの最中何気なく周りを見ていると、抱っこ紐のママ達がユラユラ優しく揺れているのを何度も見かけました。

そういえば私も揺れていたかもしれないなぁ。

数えきれないほど抱っこ紐に入れて移動したのに、なぜか当時の記憶が曖昧です。

娘の小さい頃に思いを馳せつつ、今日も信号待ちで揺れているママ達を見かけると、心が温かい気持ちになるのです。

【体験者:40代・筆者、回答時期:2025年9月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:田辺詩織
元医療事務、コールセンター勤務の経験を持つ在宅ワーカー。文学部出身で、文章の力で人々を励ましたいという思いからライターの道へ。自身の出産を機に、育児ブログを立ち上げ、その経験を生かして執筆活動を開始。義実家や夫、ママ友との関係、乳幼児期から中学受験まで多岐にわたる子育ての悩みに寄り添い、読者が前向きになれるような記事を届けている。