ランドセルから見えた「差」
「おばあちゃん! ぼく、この青いランドセルがいい!」
「いい色ね、じゃあこれに決まりね。ランドセルは6年間使うんだから気に入った色でないとね」
カバンの専門店で、義母は長男がお気に入りの色のランドセルを買ってくれました。
本人の満足そうな表情に、私もありがたいと思いました。
ところが、2歳離れた長女の入学準備が近づいたころ、
「長女ちゃんのランドセル買っておいたから」と突然渡されたのです。長女が欲しがっていた色とは違いましたが、義母は「この色が似合うと思って」と言い切りました。
買ってもらったことには感謝していますが、長男との扱いの違いを目の当たりにし、心の中にモヤモヤが残りました。
おねだりの温度差
義母の希望もあって、実家には定期的に顔を出すようにしています。
そのたびに、長男が欲しい物を口にすると、嬉しそうに財布を開く義母。
「長男だから、しっかりした物を持たせたいの」と笑顔で応じる姿に、私は言葉を飲み込むしかありませんでした。
一方で、長女が小さなおもちゃを欲しがったときには「それはお父さんとお母さんに買ってもらってね」と笑顔ではあるものの、冷たく突き放すような言葉が返ってきました。
私は長女の悲しそうな表情を見ているだけで、切なくなったのです。
夫に相談しても
あまりに気になり、夫に思い切って話しました。
すると「実家のあたりでは、長男を特に大事にする習慣があるんだよ」とポツリ。続けて、「オレは次男だから兄ちゃんとはかなり差があったな」と話したのです。
義母の中ではごく自然な感覚であり、変わることを望むのは難しいのだと理解しました。夫も長女と同じような経験をしていたことを知り、やるせなさが残りましたが、地域や世代による価値観の違いを改めて思い知らされたのです。
母親としての決意
結局、義母の考えを無理に変えようとするより、私自身がどう動くかが大切だと思うようになりました。
長女には「あなたは大事な存在だよ」と日々の会話や態度で伝えるよう心がけています。兄妹で感じる差を少しでも埋められるのは、親である私の役目だと考えたのです。
義母との距離感を保ちつつ、わが家なりの子育てを守ること。それが今の私にできる1番の答えだと感じています。
【体験者:40代・女性主婦、回答時期:2025年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Yumeko.N
元大学職員のコラムニスト。専業主婦として家事と子育てに奮闘。その傍ら、ママ友や同僚からの聞き取り・紹介を中心にインタビューを行う。特に子育てに関する記事、教育機関での経験を通じた子供の成長に関わる親子・家庭環境のテーマを得意とし、同ジャンルのフィールドワークを通じて記事を執筆。