木こり役に全力投球
毎年恒例のお遊戯会。
リカさんの園では、保護者による寸劇も披露するのが恒例で、子どもたちが一番楽しみにしている“お笑いげき”。
今年のテーマは「森の仲間たち」で、リカさんは木こり役を任されました。
段ボールで小道具まで手作りし、ラクダ色の腹巻に黒い口ひげメイクで完璧に変身。
他のママたちもうさぎ役やたぬき役で工夫を凝らし、本番は大成功!
急いで打ち上げへ
終演後、「軽くファミレスで打ち上げしよっか」とママ友から誘いが。
片付けに追われるリカさんに、子どもが
「ねえママ……」
と声をかけてきたのですが、
「ちょっとママ、今急いでるの、後にして」
忙しさでつい聞き流してしまいました。
動物役で身軽な他のママたちは、もう先に向かっている様子。
急いで段ボールの小道具をまとめ、腹巻を外して、自転車で爆走。
先に到着したママ友たちは、耳のカチューシャを外し、動物イメージカラーのワントーンコーデで“私服モード”に変身済み。
ファミレスで大爆笑
そこへリカさんが遅れて登場すると
「来た来た!」
「ちょっと待って、それで来たの?!」
「うそでしょ? 誰か動画撮ってよ」
一斉に大爆笑が起こりました。
「ねぇ、ちょっと! 鏡見てごらんって!」
えっ? 何が?
鏡を見ると、口元にはぐるりと黒いヒゲメイク。
木こり姿のままファミレスに現れてしまったのです。
子どもに「ママのおヒゲ、言ってよ〜」と訴えると、
「言おうとしたけど、忙しいから後って……」
気まずそうな子どもの表情。
「やっぱり主役はるよね!」
とママ友にも笑われ、恥ずかしさで喉はカラカラ。
笑いの中の気づき
アイスコーヒーをすすりながら、自分でも笑ってしまいました。
おしぼりで必死にヒゲを拭きつつ、久しぶりにみんなで笑い転げた秋の午後。
恥ずかしかったけれど、こんなに心から笑えたのはいつぶりだろう。
でも一番大切なことに気づいたのです。
子どもの声にちゃんと耳を傾けること。
忙しさを理由に「後で」と言ってしまいがちだけれど、もっとしっかり子どもの話を聞いていれば、と今になって反省するリカさんでした。
【体験者:30代・女性フリーランス、回答時期:2024年11月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:神野まみ
フリーランスのWEBライター・コラムニスト。地域情報誌や女性向けWEBメディアでの執筆経験を活かし、医療・健康、人間関係のコラム、マーケティングなど幅広い分野で活動している。家族やママ友のトラブル経験を原点とし、「誰にも言えない本音を届けたい」という想いで執筆を開始。実体験をもとにしたフィールドワークやヒアリング、SNSや専門家取材、公的機関の情報などを通じて信頼性の高い情報源からリアルな声を集めている。女性向けメディアで連載や寄稿を行い、noteでは実話をもとにしたコラムやストーリーを発信中。