友人の愚痴に感じる違和感
友人たちと話していると、しばしば父親の悪口が話題になります。
「うちの父親は口うるさい」
「全然頼りにならない」
もちろん、親子関係は様々で、それぞれの家庭にはそれぞれの事情や苦労があると思います。
そんな愚痴を聞くたび、私は不思議な気持ちになります。
なぜなら、私にとって父は尊敬の対象だから。
無口な父の背中が語る事
父は口数の多い人ではありません。
けれど、朝から晩まで黙々と働き、家族の生活を支えてくれていました。
その背中を見て、私は自然と「有難い」と思っていました。
特別に父から直接何かを言われたわけでも、褒めてもらったわけでもありません。
ただ、存在そのものが私に安心を与えてくれていたのです。
父を尊敬できたのは、実は「母の教え」だった
改めて考えてみると、その大きな理由は母にあります。
母は決して父の悪口を言いませんでした。むしろ、事あるごとに「お父さんのおかげだ」と話してくれました。
ごはんを食べるときも、旅行に行くときも、進学を考えるときも。
母は当たり前のように、父の努力や存在を尊重していました。
母がそうして父を尊重する姿を見ていたから、私は父を尊敬するようになったのだと思います。
父が無口でも、その価値を母が言葉にして伝えてくれた事で、子どもの私にまでしっかりと伝わっていました。
背中で示す父と、言葉でつなぐ母
今思えば、それが「親の教え」。
父は背中で働く姿を示し、母はその姿を言葉でつなぐ。
2人の在り方が、私の価値観を形作ったのだと思います。
そんな母の事も、私は尊敬しています。
そして、もし将来子どもを持つ事ができたら、母のように伴侶を尊重し、父のように背中で語れる親になりたいと思っています。
【体験者:20代・女性会社員、回答時期:2025年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Yuki Unagi
フリーペーパーの編集として約10年活躍。出産を機に退職した後、子どもの手が離れたのをきっかけに、在宅webライターとして活動をスタート。自分自身の体験や友人知人へのインタビューを行い、大人の女性向けサイトを中心に、得意とする家族関係のコラムを執筆している。