夫の大袈裟な性格
私の夫は、昔から少し体調が悪いだけでも大騒ぎする人です。
軽く机の角に足をぶつけただけで「痛い、痛い!」と大声をあげ、微熱が出れば「今日はもう動けない」と布団にこもる。
そんな調子なので、私にとっては「はいはい、また始まった」と聞き流すのが日常でした。結婚してからずっと見慣れているので、真剣に受け止めるべきか、いつものこととして流すべきか、迷うのが常でした。
最初は取り合わなかった
ある朝のこと。夫が「お腹が痛い」と訴えてきました。
私は慌ただしく朝の支度をしながら「気のせいじゃない?」と軽く返しました。
夫は顔をしかめながら何か言っていましたが、正直また大げさに言っているのだろうと深く考えられませんでした。
仕事に遅れるわけにもいかず、そのまま出かけてしまったのです。
病院に駆け込む夫
ところが昼頃、仕事中に夫から連絡がありました。
嫌な予感を覚えながら出ると、
「仕事に行ったけど、あまりに痛いから早退して病院に行った。盲腸って診断されて、これから入院する」との言葉。
思わず耳を疑いました。
あの時「気のせい」と片づけてしまったことを申し訳なく思い、電話口で「ごめんね、本当に大変だったんだね」と素直に謝りました。
長年の習慣に慣れてしまっていたがゆえに、本当に危険なサインを見落としかけていたのです。
体調の訴えは侮れない
幸い、夫は無事に手術を終えて退院できました。
その後、夫は冗談交じりに「あの時、気のせいって言ったよね?」と時々持ち出しますが、この出来事から学んだのは、体調の訴えは侮れないということです。
たとえ少し大げさに聞こえても、その裏には本当の危険が隠れているかもしれません。
今では、夫の言葉に一度は耳を傾けるようにしています。
【体験者:50代・筆者、回答時期:2025年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒヤリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:大下ユウ
歯科衛生士として長年活躍後、一般事務、そして子育てを経て再び歯科衛生士に復帰。その後、自身の経験を活かし、対人関係の仕事とは真逆の在宅ワークであるWebライターに挑戦。現在は、歯科・医療関係、占い、子育て、料理といった幅広いジャンルで、自身の経験や家族・友人へのヒアリングを通して、読者の心に響く記事を執筆中。