実家から遠方に住み、仕事の忙しさから危篤の祖父への面会を躊躇していた友人。でも、母に言われた一言に胸を突かれて、行動を起こします。友人が、貴重な体験談を語ってくれました。
祖父の満面の笑顔と最後の自慢
面会は感染症対策で窓越しでしたが、祖父は私を見るなり身を乗り出し、満面の笑みを浮かべたのです。
言葉は出にくいようでしたが、横にいる看護師さんが笑いながら教えてくれました。
「おじいちゃんね、『あいつ、九州から来たんだぞ! 仕事もがんばっとるんだぞ!』って、ずっと自慢してますよ」
にこにこ笑う祖父を見て、胸が熱くなりました。
わずかな時間でも、生きている祖父に直接「会いに来た」ことがどれほど意味のあることかを実感したのです。
後悔のない別れ方
数日後、祖父は息を引き取りました。
悲しいけれど、私の心には後悔はありませんでした。
母の言葉がなければ「お葬式に出るから」で済ませていたかもしれない。
でも祖父は、遠くで頑張る私を誇りに思ってくれていると伝えてくれたのです。
「生きているうちに会う」、その大切さを母と祖父が教えてくれました。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Yuki Unagi
フリーペーパーの編集として約10年活躍。出産を機に退職した後、子どもの手が離れたのをきっかけに、在宅webライターとして活動をスタート。自分自身の体験や友人知人へのインタビューを行い、大人の女性向けサイトを中心に、得意とする家族関係のコラムを執筆している。