保育士が目撃! 乳歯がボロボロな子ども
私は保育士をしています。
日々さまざまな家庭環境の子どもたちと接していますが、中でも驚かされるのが「歯の状態」。
少し虫歯がある程度ならよくあること。
しかし中には、乳歯全体が黒ずみ、崩壊が進んでいて、乳歯が溶けるような深刻な状態の子どももいるのです。
歯のケアから透けて見えるもの
小さな子どもは自分でしっかり歯磨きができません。
そのサポートをするのは、やはり保護者の役目。
けれど、「どうしてここまで?」と目を疑うほどの歯の状態を見る時、保護者の知識や経済的な問題、あるいは精神的な余裕の欠如など、複合的な要因が背景にあると感じることがあります。
実際に歯がボロボロだった子の家庭は複雑で、保育園から市に何度も連絡をするほどのケースでした。
歯のケアひとつをとっても、家庭が直面している課題や、必要な支援が透けて見えるのです。
乳歯がもたらす影響
乳歯だから生え変わるし大丈夫、そう思う方もいるかもしれません。
しかし、乳歯は永久歯が生えてくるためのスペースを確保し、永久歯の歯並びや顎の発達の土台となる重要な役割を担っています。
乳歯が虫歯でボロボロになると、永久歯にもエナメル質の形成不全などの影響が出たり、将来的な噛み合わせや発音に影響することがあります。
何より、虫歯による痛みは小さな子どもにとって大きな負担です。
家庭と地域が担いたい支援
保育士として「もっとケアしてあげてほしい」と願っています。
でも、保護者も子育ての孤立や生活の困難に直面し、そこまで気が回らない家庭もあるのが現実です。
だからこそ、保護者を責めるのではなく、歯磨き指導や健診を通じて少しでも意識を高めてもらうことが大切だと感じています。そして行政や医療機関と連携した具体的な支援へと繋げることが大切だと感じています。
子どものお口の健康は、その子の未来の健康そのもの。
子どもたちが笑顔で元気に育つために、家庭と保育園、そして地域が一緒になって「予防」と「支援」で支えていく必要があると痛感する毎日です。
【体験者:50代・女性保育士、回答時期:2025年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Yuki Unagi
フリーペーパーの編集として約10年活躍。出産を機に退職した後、子どもの手が離れたのをきっかけに、在宅webライターとして活動をスタート。自分自身の体験や友人知人へのインタビューを行い、大人の女性向けサイトを中心に、得意とする家族関係のコラムを執筆している。