反撃の瞬間
すると、自分の部屋にいたはずの息子がものすごい勢いでリビングへやってきました。
夫の大きな声が聞こえ、おそらく話の内容を全部理解していたのでしょう。
普段は大人しい息子が「いい加減にしてくれよ! 人のあら探しと悪口ばっかり! もううんざりなんだよ!」と、父親に対して初めて自分の感情をあらわにしたのです。
私も驚きましたが、もっと驚いていたのは夫。
「親に向かってなんて口の利き方をするんだ!」と怒鳴りましたが、息子はさらに溜まっていた感情を爆発させました。
「は? 親? お前、何様なんだよ! ろくに子どもの話も聞かないくせに!」
その勢いに、夫は何も言えなくなりました。
前進
その日の夜、私は息子から家を出たいと言われました。
大学進学はせず、働いて私と2人で生活したいと提案してきたのです。
「離婚できないの? あんなのと一緒にいない方がいいよ」と言う息子。
私は今まで結論を先延ばしにしてきた自分を反省し、離婚に向けて準備を始めることにしました。
「攻撃は最大の防御」とは言いますが、夫の攻撃は果たして防御だったのでしょうか?
本当は弱い自分を守るために攻撃していたのなら、攻撃する相手を間違えていたことに気付いてほしいと思っています。
【体験者:40代女性・パート、回答時期:2025年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:RIE.K
国文学科を卒業しOLをしていたが、自営業の父親の病気をきっかけにトラック運転手に転職。仕事柄多くの「ちょっと訳あり」な人の人生談に触れる。その後、結婚・出産・離婚。シングルマザーとして子供を養うために、さまざまなパート・アルバイトの経験あり。多彩な人生経験から、あらゆる土地、職場で経験したビックリ&おもしろエピソードが多くあり、これまでの友人や知人、さらにその知り合いなどの声を集め、コラムにする専業ライターに至る。