筆者の話です。
結婚を控えた私が、弟に冗談で「お祝いはたっぷりね」と口にしたことから、思わぬ大ごとに発展してしまいました。
弟の真剣すぎる気持ちに触れ、軽率な発言を反省しつつ、胸が熱くなった出来事です。

姉として支え続けた日々

両親と弟と私の4人家族。
両親が共働きだった我が家では、幼い頃から弟と助け合って暮らしてきました。

弟が保育園時代には、雨の日に小さな傘を持って迎えに行ったこともあり、その記憶はいまも大切な思い出です。
進学や就職の節目ごとに、忙しい両親の代わりに私が動くのは当たり前になっていました。
引っ越し先で「若いお母さんですね!」と声をかけられることもあり、気づけば「姉に頼めば大丈夫」と思われていたのです。
頼られることを負担と思わず、むしろ誇らしく感じていました。

軽い冗談が引き金に

私が結婚の準備をしていたときのこと。
いたずらごころに火がついて軽い気持ちで「今までのお礼だから、弟にはたくさん包んでもらわないと」と冗談を言ってしまいました。
「最低でもウン十万ね!」と大きな金額を口にした私。
周囲に笑いを誘いたい気持ちもありましたが、弟は一瞬、真剣な表情を見せました。
場を和ませるつもりだったのですが、その一言が弟を本気にさせてしまったのです。

母に叱られた弟の真意

「お祝いが足りないからボーナスまで貸してほしい」と弟が母に相談。
私は母からこっぴどく叱られることになりました。
すっかり「ウン十万」発言を忘れていた私。
慌てて事情を聞き「相場というものがあるでしょ?」と伝えたのですが、弟は「昔からお世話になったから特別にしたかった」と真剣に打ち明けてきたのです。
その言葉に胸が熱くなり、軽はずみな発言を深く反省しました。

お金以上に伝わった思い

最終的には、弟が自分で準備できる相場より少し多めのお祝いを受け取りました。
弟なりに「これまでのお世話になった気持ち」を表してくれた金額以上に、弟の思いが胸にしみて、嬉しくてたまらなかったのです。
冗談のつもりで始まった出来事でしたが、姉弟の絆を確かめるきっかけとなりました。

【体験者:50代女性・筆者、回答時期:2025年9月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。