楽しみにしていた一日
久しぶりの休日、私は夫と息子を連れてテーマパークへ出かけました。人気のアトラクションには長蛇の列ができていたものの、子どもは「早く乗りたいね!」と目を輝かせ、家族みんなで並んで待つ時間さえ楽しいひとときでした。
「ママ、あと何人で乗れるかな?」そんなやりとりをしながら順番を守って並んでいると、突然その空気を乱す出来事が起こったのです。
突然現れた非常識な親子
私たちの少し前方、列の隙間から知らない親子がスッと入り込んできました。どう見ても最後尾から並んできた様子はなく、周囲の視線も徐々に集まります。しかし、誰も直接は注意できず、列の空気はピリッと緊張に包まれました。
「えっ、今のって……?」と周囲がざわつく中、夫がゆっくりと口を開きました。
夫の勇気ある一言
「すみません、こちらの列の最後尾はあちらですよ」
静かながらもはっきりとした声。
親子は少しムッとした表情を浮かべましたが、後ろからも「そうですよ」「ちゃんと並んでください」と自然に声が上がり、親子は無言で列の最後尾へと戻っていきました。
すると、それまで緊張していた空気がふっと和らぎ、周囲からは安心したような笑顔がこぼれ始めました。
子どもの一言に、心がじんわり
「パパ、かっこよかったね!」
そう言ったのは、息子でした。
その言葉に、夫も照れくさそうに笑っていましたが、私自身も胸が熱くなりました。
非常識な人に対して、つい「面倒だから」と黙ってしまう場面も多い中で、冷静に一言伝えるだけで場の秩序が守られる、そんなことに気づかされた瞬間でした。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:池田みのり
SNS運用代行の職を通じて、常にユーザー目線で物事を考える傍ら、子育て世代に役立つ情報の少なさを痛感。育児と仕事に奮闘するママたちに参考になる情報を発信すべく、自らの経験で得たリアルな悲喜こもごもを伝えたいとライター業をスタート。