皆が皆、それぞれ色んな事情を持っているもの。
それでも中身を知らないのに、見た目だけで酷いことを言ってくる人がいるものです。
今回は筆者の友人が体験した、なんとも腹だたしいお話です。

慌ててトイレへ向かうも長蛇の列

A子さんが2人目を妊娠中、4歳になる息子と2人で商業施設へ遊びに行きました。
昼食をとろうとフードコートに向かい、着席して何を食べようかと話していると、

「トイレに行きたい!」

と言い出す息子、それもかなりギリギリの様子。
慌てて一番近いトイレへ連れて行ったのですが、トイレには長蛇の列が出来ていました。

ふと前にあるバリアフリートイレを見ると、奇跡的に空室!
ギリギリセーフと安堵しながら、バリアフリートイレの中に入りました。

そうして息子はトイレに間に合い、これで安心してご飯が食べられるね♪ なんて話していると、

「ゴンゴンゴン!!」

と、力強くノックをされたのです。

「すいません、すぐに出ますね!」

A子さんは外に向かって言い、息子を連れて出ました。

突然怒鳴りつけてくる、見知らぬ女性

ドアの前には見知らぬ中年女性が、こちらを睨みつけながら仁王立ちしていました。

「ここバリアフリーなの知ってます?」
「あんたらに必要ないでしょ!?」

と、目が合った瞬間怒鳴られたA子さん。
息子は怒鳴り声にびっくりしたようで、サッとA子さんの後ろに隠れたのですが、

「あんたらが悪いのに、何その態度は!?」

と、息子に向かって怒鳴ってきたのです。
危害を加えられるのでは? と思ったA子さんは、息子の盾になるように立ち、

「お待たせしたのは申し訳ないですが、私は妊婦ですし子どももまだ小さいです。バリアフリートイレを使用する権利はあると思うのですが」

そう言いながら、ドアに表示されているマタニティマークを指さしました。ところが……

女性から驚きの言葉が

「どこも怪我してないんやろ! お前らにそんな権利があるか!」

と怒鳴り続け、中年女性の怒りは収まりません。
息子も怯えているし、お腹にも子どもがいるので下手な動きはできません。

困っていると、警備員の人が走ってこちらに来てくれたのです!
のちに女子トイレにいた人が、怒鳴られるA子さん達を目撃し、わざわざ呼びに行ってくれたと知りました。
そうして警備員の人が間に入ってくれたのですが、その瞬間中年女性はブツブツと文句を言いながらどこかへ行ってしまいました……。

結局中年女性がそのトイレを使用することはなく、バリアフリートイレの順番を待っていたわけではないことがわかりました。
おそらく、多くの方が女子トイレに並ぶ中、A子さん親子が列を避けバリアフリートイレを利用したことが、彼女の感情を刺激したのでしょう。
理不尽な状況に直面し、A子さんは心身ともに疲弊しました。

世の中には多様な価値観を持つ人がいるため、今回の経験を通じて、公共の場での配慮の欠如が、他者に与える影響の大きさを痛感した出来事でした。特に、息子に怖い思いをさせてしまったことは、今も忘れられない記憶として残っています。

【体験者:30代・女性パート、回答時期:2025年9月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Yuki.K
飲み歩きが趣味の元キャバ嬢。そのキャリアで培った人間観察力でコラムを執筆中。すっと人の懐に入ることができる天然人たらしが武器。そのせいか、人から重い話を打ち明けられやすい。キャバクラ勤務後は、医療従事者として活躍していたが出産を機に退職。現在はこれまでの経験で得た人間関係を取材に生かし、主に女性の人生の機微を記事にするママライター。