しかし、時には注意しなくてはいけない場面もあるようです。
今回は筆者の友人A子さんのお話をご紹介します。
駅で人助け
A子さんが、駅まで夫を迎えに行った時のことです。
時刻は16時頃で、人がまばらに歩く中、小学生くらいの男の子に突然話しかけられました。
「すいません。今から家に帰りたいんですけど、100円足りないんです……」
突然見知らぬ子に言われて驚きましたが、実はA子さん自身も、お金が足りずに電車に乗れなかった経験がありました。
そんな辛い思いをさせるなんて! と思い、迷わず100円を渡すことに。
大喜びでお礼を言って立ち去る少年を見つめ、「いい事したな」なんて思っていました。
私、嘘つかれたの!?
その後、トイレを済ませたA子さんが改札前の端で立っていると、先程100円を渡した子が帰る様子もなく、他の少年たちといるのが目に入りました。
それも、笑い合いながらあたりを見回していて、帰る様子がありません。
不審に思い観察していると、別の少年が「お金が足りなくて……」と、他の人に声をかけているではありませんか!
A子さんは、「家に帰れない」というのが嘘で、お金集めが目的だと確信しました。
ちょうど連絡を取っていた夫に、それまでの出来事を伝えると、
「その子達の背格好教えて。もう着く」
「俺が電話するまでA子は出てこなくていいよ。電話したらすぐこっち来て」
そう言われ、待つこと約10分。
ホームの階段から改札に向かってくる夫を見つけました。
反省してほしい
夫は改札から出てくると、まっすぐ少年たちのほうへ近づいて行きました。
そして何気なく財布を取り出し、小銭をチェックし始めると、
「すいません、お金が足りなくて~」
と、夫は少年たちから声をかけられました。
A子さんがドキドキしながら見守る中、夫から着信が。
夫のほうに近づいて行くと、夫は少年たちに対し、声を潜めて尋ねました。
「あのさ、君たち帰れなくなったとか言って、色んな人からお金もらってるでしょ」
そう言う夫に、少年たちは「何もしてない」等々、文句や言い訳をしだしました。そのタイミングでA子さんが登場し、
「この人にも100円もらったやろ?」
と言うと、少年たちは気まずそうに下を向いたのです。さらに夫は、
「これ普通に警察呼ぶけど、どうする?」
そう畳みかけると、皆は無言で涙目に。
その後、夫は駅員さんに駅周辺での迷惑行為だと事情を説明し、少年たちを任せて帰宅しました。
夫に「次からは自分のお金を出さずに、駅員さんのところへ連れていくといい」と言われ、A子さんも簡単に渡してしまったことを反省しました。
翌日から駅周辺で彼らの姿を見ていませんが、A子さんは、彼らも反省してくれますようにと願っています。
【体験者:30代・女性ヨガインストラクター、回答時期:2025年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Yuki.K
飲み歩きが趣味の元キャバ嬢。そのキャリアで培った人間観察力でコラムを執筆中。すっと人の懐に入ることができる天然人たらしが武器。そのせいか、人から重い話を打ち明けられやすい。キャバクラ勤務後は、医療従事者として活躍していたが出産を機に退職。現在はこれまでの経験で得た人間関係を取材に生かし、主に女性の人生の機微を記事にするママライター。