筆者の友人A子さんは、仲の良いママ友との集まりで、小さな違和感が芽生えたそう。手土産の習慣をめぐる、価値観のズレにまつわるお話を紹介します。

お茶会の手土産

A子さん、Bママ、Cママ、Dママは、頻繁にお互いの家を行き来する仲良しグループでした。
誰に相談したわけでもありませんが、A子さん、Cママ、Dママの間では、「ちょっとした感謝の気持ち」として、市販のお菓子や手作りスイーツを持ち寄る習慣が自然と定着していました。

小さな違和感

ところが、Bママだけは、いつも手ぶらで現れます。
A子さんは当初「手土産は必須ではないし」と気にしていませんでしたが、Bママは皆の手土産を、誰よりも先に、あっという間に食べ尽くしてしまうことが続きました。
そして食後の口癖は、「私って手土産とか持ってくる派じゃないからさ! いつもありがとね~」という、どこか開き直ったような一言。

「感謝はするけど、手ぶらで来て、誰よりも多く食べる」という行動の積み重ねに、A子さんの心には、徐々に小さなモヤモヤが溜まっていきました。

このモヤモヤは私だけ? そう思ったA子さんが、CママとDママに相談すると、なんと2人も全く同じ違和感を抱えていたことが分かりました。
話せば気さくで面白いBママに、皆、手土産というデリケートな価値観の違いについて、口を出せずにいたのです。

「このままだと状況は変わらない」そう意を決したA子さん達は、手土産の習慣そのものを見直すことにしたのです。

浮き彫りになった「期待のズレ」

A子さんは、グループLINEで「今まで手土産を持参していたけど、毎回買うのも大変だし、今後はお互いの負担を減らすためにやめにしよう」と提案。

CママとDママは同意してくれましたが、Bママは既読無視でした。
それ以降、集まりに手土産を持っていく人はいなくなりました。

ルール変更後、初めてBママの家に集まる日。誰も手土産を持って行かないのを見たBママは「ねえ、どうしてお菓子持ってくるのやめちゃったの!?」と焦った口調で尋ねてきました。

A子さん達が穏やかに答えました。
「LINEにも少し書いたけど、頻繁に会うくらい気心の知れた仲なんだし、毎回用意しなくていいのかなって。Bママさんは『手土産を持ってくる派じゃない』って言ってたから、問題ないかと思ってたよ」

するとBママは表情を硬くし、「そんなんじゃ集まってる意味ないじゃん!」と言い放ち、お茶会を早々に解散しました。

A子さん達は気づきました。Bママにとって、お茶会は「誰かが用意してくれるお菓子を楽しむ場」という期待が、とても強かったのかもしれない、と。その夜、Bママは静かにグループLINEからいなくなりました。

人付き合いの教訓

後日、Bママが別のママ達に、

「家に呼んでやったのに、誰も手土産持ってこなかったの、やばくない!?」
「あんなケチで非常識な人達、付き合わない方がいいよ!」

などと、事実を捻じ曲げた悪口を言いふらしていたことが分かりました。

別のママ達に事情は説明したものの、結局、Bママとは縁が切れてしまいました。けれど、A子さんに後悔はありません。「自分の期待通りにいかないからといって、事実無根の悪口を言いふらす人とは、長く良いお付き合いは難しい」と感じたからです。

今回の出来事は、『手土産の有無』ではなく、『集まりに対する価値観』と『相手への配慮』のズレによって起こりました。A子さんは、どんなに親しい関係でも、お互いに感謝の気持ちを持ち、相手の価値観に寄り添おうとする姿勢、そして早い段階での率直な話し合いが大切だと学びました。

【体験者:30代・女性パート、回答時期:2025年9月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Yuki.K
飲み歩きが趣味の元キャバ嬢。そのキャリアで培った人間観察力でコラムを執筆中。すっと人の懐に入ることができる天然人たらしが武器。そのせいか、人から重い話を打ち明けられやすい。キャバクラ勤務後は、医療従事者として活躍していたが出産を機に退職。現在はこれまでの経験で得た人間関係を取材に生かし、主に女性の人生の機微を記事にするママライター。