心無い言葉に傷つく日々
結婚して数年が経っても、私たち夫婦はなかなか子宝に恵まれませんでした。
孫を切望していた義母は、会うたびに
「嫁は子どもを産むのが義務なのに、このままじゃ、あなた不良品よ?」
と、心無い言葉で私を責め立てます。
日に日にエスカレートする義母の嫌味に、私は深く傷つき、もう限界だと感じていました。
しかし、気弱な夫は困った顔をするばかりで、私をかばってくれることはありませんでした。
「不良品」発言を逆手に取る決意
夫にも頼れない。だったら、私が自分で動いて状況を変えるしかない!
私は、義母から「不良品」と言われたことを逆手に取り、やり返すことを決意しました。
数週間後、法事で親戚一同が集まったときのことです。
いつもなら台所で義母や他の女性陣と一緒に食事の準備に奔走する私ですが、その日は絶対に手伝わないと決めていました。
まさかの発言に親戚一同が騒然
私は、リビングの一番良い席に、偉そうにどっしりと座っていました。
そして、親戚たちが「A子さん、手伝わなくていいの?」と声をかけてくるたび、にこやかにこう答えたのです。
「私、不良品なので♡」
その後も本当に一切手伝わず、ずっと座り続けていました。
最初は親戚たちも意味が分からず苦笑いしていましたが、私が動かないのを見て、徐々に奇妙に思い始めたのでしょう。
やがて、年配の伯母さんが訝しげな顔で義母に尋ねました。
「A子さんが不良品って、どういうことなの?」と。
大ブーイングの嵐、そして訪れた平和
叔母さんの言葉をきっかけに、親戚たちが一斉に「不良品?」「まさか嫁イビリ?」と騒ぎ出しました。
義母は、「不良品」発言がこんな騒ぎになるとは思っていなかったのでしょう。みるみるうちに顔を青ざめさせました。
私はここぞとばかりに「いえ、お義母様がいつも私に『孫を産まない嫁は不良品だ』とおっしゃるもので。不良品は何もできないから、今日は座らせていただいています」と説明しました。
その言葉に、親戚一同は唖然。
大ブーイングを浴びせられた義母はそそくさと奥の部屋へ引っ込んでしまい、それ以来、「不良品」という言葉も一切使わなくなりました。
夫も私の苦しみをようやく理解してくれ、それからは義実家で私をひとりにすることはなくなったのです。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。