娘の欲しがった色は「黒」
去年の秋、私は小学生になる娘のランドセル選びに、頭を悩ませていました。私たち夫婦としては高学年になってからも飽きが来ないように、赤やピンクなどのオーソドックスな色を選んで欲しいと思っていました。
ただ、娘に欲しい色を聞いてみると「黒!」の一点張り。夫が「女の子が黒なんてありえないだろう。ずっと使うものなんだから良く考えなさい」と娘に言っても、「カッコいいから絶対に黒がいい!」と言って聞きません。
私たちの考えが古いということも理解していますし、私立の小学校などには指定の黒や茶色のランドセルがあり、女の子でも違和感なく使用しているのも知っています。ですが、周りの子と同じような無難なものを買ってあげたいという親心が、どうしても拭いきれませんでした。
悩んだ末、娘の希望通りにした
ただ、ランドセルを使うのは娘です。やはり本人が気に入ったものを使わせてあげたいと思い、悩みに悩んだ末、本人が希望した黒のランドセルを購入しました。
自分の希望が叶い、娘は「やっぱりこれが一番!」と大喜び。しかし、入学式が近づくにつれて、私は周りの子と比べて浮いてしまわないかと不安が募っていきました。
入学してみて意外だったこと
ですが、そんな不安は無意味でした。
入学式当日、学校には様々な色のランドセルを背負った子供たちの姿が。保護者たちは自分の子に夢中で、他の子のランドセルの色なんて気にしている場合ではありません。
さらに、その翌日からは黄色のカバーを装着することが義務付けられました。なので、ランドセルの大部分がカバーで隠れてしまうのです。そう思うと、ランドセルの色をそこまで気にする必要はなかったのかなと感じました。
十人十色の時代
私が子供の時は、「女の子なら赤、男の子なら黒」しかほぼ選択肢がありませんでした。
今は色々な面で多様化が進み、個性的なランドセルの子もたくさんいます。娘は自分の気に入ったランドセルを大切にしていて、毎日楽しそうに登校しています。
結局、ランドセルを使うのは子供本人なのです。親の意見も大切な時はあると思いますが、子供の自立心を育てるためにも、子供自身に選択を任せることの大切さも学んだ出来事でした。
【体験者:30代・女性主婦、回答時期:2025年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:花澤ひかる
主婦ライター。ママ友たちからの悩みを聞くうちに、この声を世に届けたいと、ブログなどで活動を開始し、現在はltnライターに転身。主婦目線を大事に、ママ世代へのフィールドワークと取材を行い、そのリアルな思いをコラムにすることをライフワークにする。