華道展の周年記念に社中(同じ華道教室の仲間)で出かけることになり、旅行会社勤務の経験を活かして私が手配を担当しました。
ところが準備が整った頃、先生の「弟子が全部手配してくれた」の一言から想定外の展開に巻き込まれ【疲労困憊ツアー】となったのです。
華道展旅行の手配を任された私
流派の大規模な周年記念華道展に合わせ、同じ華道教室の仲間(社中)で関西へ行くことになりました。
地方にいるとめったに見ることができないお家元の作品などが見られるとあって、教室で参加者を募り、ツアーを決行することに。
旅行会社に勤めていた私は「こういうときは任せて」とホテルや交通の段取りを担当。
幹事としても腕の見せどころだと思い、抜かりなく準備を整えました。
旅程表を作成し、教室で参加者に配布。
「きっと楽しい旅行になる」と信じていたのです。
先生のひと言から広がった同行希望
そんな矢先、定例の勉強会で先生が別の先生に「弟子が全部手配してくれたの!」と話してしまったのです。
「私の教室はこんなに仲がいいのよ」と言いたかっただけのようですが、高齢でひとりで参加するのは難しいと思っていた他の先生方の興味をひいてしまったらしく……。
「私も行きたいから一緒に連れて行って!」とお友達の先生方が声を上げ、同行希望が次々に広がりました。
結果的に+3人となり、私は急きょ宿の増室や座席調整に追われることになったのです。
準備段階からすでに波乱の兆しが見えていました。
予定外の買い物と迷子で大混乱
迎えた当日、華道展は無事に見ることができたのですが、昼食を終え移動しようとしていた矢先「孫に頼まれたブランドのバッグを買いたい」と言い出す先生が出てきて。
そのブランドを探してデパート巡りが始まり、予定は総崩れ。
人の流れが乱れたせいで迷子になる人も出てしまい、その対応で私たち若手の弟子は走り回ることに。
自分の先生だけでも大変なのに、師匠クラス4人分の世話を背負うことになり、体力も気力もどんどん削られていきました。
笑顔の先生方と、心底もう行きたくない私
どうにか旅程を終え帰着。
帰宅する先生方をタクシー乗り場で見送ると「楽しかったから、また誘ってね」と笑顔で言ってくれました。
けれど私は、その言葉を聞きながらも心の底から「できればもう行きたくない」と思ってしまったのです。
表情には出さなかったけれど、あれほどぐったりした旅は初めてで、まさに【疲労困憊ツアー】。
忘れられない経験になりました。
【体験者:50代女性・筆者、回答時期:2025年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。