義母の訪問は“緊張の始まり”
義母が我が家にやってくると、私は気が休まりません。
理由は、義母が勝手に冷蔵庫を開け、食材を物色し、我が物顔でキッチンに立つから。
「あら、Aさん(私)は座ってて。私料理得意なんだから」
そう言いながら、義母は食材を切り始めます。
冷蔵庫を覗いて、
「豆板醤もないの? これじゃ作れないわね」「アレもないか……」
と、小言を並べるのです。
私が夫に文句を言っても、「やってあげたいんだろ、気にし過ぎだよ」と、話を聞いてくれません。
理解されないモヤモヤ
この日も、義母は勝手に冷蔵庫を開けていました。
私は「今日は作ってあるので……」と遠回しに伝えたが、義母は聞く耳を持ちません。
「付け合せが必要でしょ」と言い、冷蔵庫を漁っていました。
その様子を見ていた義父が、突然口を開いたのです。
「おい、いい加減にしろ。人の家の冷蔵庫を勝手に開けるなんて、失礼だろ!」
その日、口を開いた意外な人物
義父が我が家に来るのは久しぶりのこと。
この日初めて目の当たりにした義母の言動に、目に余るものがあったのでしょう。
義父は静かに言いました。
「自分の家なら何をしても構わないが、ここは息子とお嫁さんの家だ。おまえ、来るたびにこんな失礼なことしてるんじゃないだろうな」
義母は、「たまたまよ、たまたま!」と明るく答えていました。
胸のつかえが取れた瞬間
しかしその日を境に、義母が我が家に来ても、勝手に冷蔵庫を開けることはなくなりました。
義母にとってはかわいい息子の家。我が家同然に思っているのかもしれません。
でも、私にとってキッチンは大切な場所。
冷蔵庫を開けられ、食材を勝手に調理され、私にとっては土足で家に入られたような居心地の悪さがありました。
でも、言えずにずっと我慢していました。
義父の言葉は、私の気持ちを代弁してくれたようで本当に救われたのです。
家族とはいえ、境界線を守る大切さを改めて感じた出来事でした。
【体験者:40代・女性パート、回答時期:2025年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Yuki Unagi
フリーペーパーの編集として約10年活躍。出産を機に退職した後、子どもの手が離れたのをきっかけに、在宅webライターとして活動をスタート。自分自身の体験や友人知人へのインタビューを行い、大人の女性向けサイトを中心に、得意とする家族関係のコラムを執筆している。