理由を聞くうちに見えてきたのは、親の応援が知らぬ間に与えていた“プレッシャー”でした──。
今回は筆者の知人から聞いた、思春期の息子との向き合い方に悩んだエピソードをご紹介します。
部活を辞めたいだって!?
ある夕方、中2の息子が突然、思ってもいなかったことを口にしました。
「部活、もう辞めてもいいかな……」
小学校から続けていたバスケットボールを中学生になってからも続け、熱心に取り組んでいた息子。
毎朝早く起きて練習にも通っていたうえ、本人も楽しそうに打ち込んでいるように見えていたからこそ、急な申し出に驚きました。
「これまで楽しそうに頑張って取り組んできたじゃない!」
「一体どうして?」
と、ついつい問い詰めてしまったのです。
息子の想い
それから1分ほど、息子は黙ったままでしたが、意を決した表情でこう話してくれました。
「レギュラー争いがしんどい」
「仲間と張り合うのが辛い」
「試合には出たいけど、友達と仲良くいられなくなりそうで怖い」
ずっと1人で悩んでいたであろう葛藤をしぼり出すように話してくれた息子。
さらに続けて、
「母さんから“次はスタメンだね!”って言われること、ちょっとプレッシャーだった」
と打ち明けられたのです……。
反省
それを聞いて、言葉を失った私。
精一杯息子のやりたいことを応援しているつもりだったのですが、息子にとっては、“もっと頑張りなさい”というプレッシャーになっていたのだと初めて知ったのです。
思い返せば、
「あなたならできる」
「母さんずっと応援しているから」
と伝えてはいたものの、肝心の息子の想いはこれまで聞いていませんでした。
応援が時には重荷にもなってしまうと学び、反省した私。
それからは、“辞める=悪いこと”とは言わないように気をつけることに。
「あなたが本当にしんどいなら、辞めるのも選択肢」
「一緒に考えてみよう?」
学び
そう伝えた数日後、
「もうちょっとだけ頑張ってみる」
と息子から告げられました。
誰かから応援されたからと流されるのではなく、自分の意志で決めることを大事にしたかったのでしょう。
それからは、結果や成果よりも、プロセスや息子の気持ちに目を向けるように。
親子で“頑張る”の意味を見直すきっかけにもなった出来事でした。
【体験者:40代・女性会社員、回答時期:2025年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:一瀬あい
元作家志望の専業ライター。小説を志した際に行った女性への取材と執筆活動に魅せられ、現在は女性の人生訓に繋がる記事執筆を専門にする。特に女同士の友情やトラブル、嫁姑問題に関心があり、そのジャンルを中心にFTNでヒアリングと執筆を行う。