その不自然な様子に胸騒ぎがして声をかけた女性たちに対し、彼女は思いがけない言葉をこぼしました──。
今回は筆者の友人から聞いた、ホッと一安心した印象的なエピソードをご紹介します。
少女
これは、平日の夜、友人と帰りの電車を待っていたときの出来事です。
「あと5分くらいしたら電車に乗れるね」
「疲れたし早く帰ろうか」
なんて友人と話していると、ふと少女が目に入りました。
その子は小学生くらいでベンチに座っていたのですが、何本も電車を見送ってはおどおどしているのが何だか気になります。
スマホを握りしめていたものの、誰かと連絡を取っている様子もなく、ただただどうしようか迷っているような雰囲気が見てとれました。
声をかけると?
その少女がなんとなく気になり見ているうちに、何だか胸騒ぎがした私。
「あの子、変じゃない?」
と友人も気になったようで、思い切って2人で声をかけてみることにしたのです。
すると、少女は急にぽろぽろと大粒の涙をこぼし始めるではありませんか!
急な変化に驚きましたがハンカチを渡してなだめつつ、駅員さんにも声をかけ、一緒に話を聞くことにしたのです。
理由
しばらくして少女は小さな声で、
「家出しようと思っていたの」
「でも行くあてもなくて」
と打ち明けてくれました。
どうやら、お母さんと大喧嘩して家には帰りたくないとのこと。
でも、どこに行けばいいのか分からなくて、駅で何本も電車を見送っていたのだとポツリポツリと話してくれた少女。
「親御さんに連絡してみようか」
と駅員さんが優しく声をかけてくれ、少女もすっかり気持ちが治まった様子。
「お母さんに会いたい」
という言葉を聞いて、ようやく安心できた私たちはその場を駅員さんに託すことにしました。
声をかけてよかった
正直、話しかけてよいものかと悩みましたが、結果的にあの子が独りでどこかへ行ってしまう前に声をかけられて本当によかったと思っています。
『何か様子がおかしいな』と感じたら、無視せず関わる勇気を持つこと。
大人として、そんな姿勢を持ち続けたいと感じた夜でした。
【体験者:20代・女性会社員、回答時期:2025年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:一瀬あい
元作家志望の専業ライター。小説を志した際に行った女性への取材と執筆活動に魅せられ、現在は女性の人生訓に繋がる記事執筆を専門にする。特に女同士の友情やトラブル、嫁姑問題に関心があり、そのジャンルを中心にFTNでヒアリングと執筆を行う。