周囲の視線も気になって立ち尽くしてしまったなか、ふと届いた“あるひと言”が心を救ってくれることに──。
今回は筆者の友人から聞いた、育児に関するエピソードをご紹介します。
イヤイヤ期の娘
3歳の娘はイヤイヤ期真っ盛り。
朝の着替えもお風呂も、
「イヤ!」
の一点張りです。
外に出れば、
「帰らない!」
とひっくり返る始末。
正直、イヤイヤ期と分かっていても、言うことを聞いてくれない娘にイライラすることばかりでした。
そんなある日、近所の公園でシャボン玉遊びのイベントに参加した時の出来事です。
一緒に遊んでいた子に次の順番を譲っただけなのですが、まだ遊び足りなかったのか娘はギャン泣き!
地面に寝転がり、全身で拒否する姿にとうとう私の限界が来てしまいました……。
怒鳴ってしまった
「いい加減にして!」
「恥ずかしいでしょう!!」
と思わず怒鳴ってしまったのです。
私の大声にびっくりしたのか、周りの目が一斉にこちらに向いたことに気づき、ようやく我に返りました。
でも、娘はもっと大声で泣くばかりで、周囲の視線も感じてとにかくいたたまれなくなった私。
『もう帰ろう』と半ば強引に娘の手を取りその場を後にしようとしていました。
するとその時、近くにいた年上のママがスッと近づいてきて、小さな声でこう言ってくれたのです。
救いの言葉
「うちの子もあのくらいの頃、毎日地べたで泣かれていたわ」
「辛いよね~でも大丈夫、10年後には笑い話になるから」
そのひと言に、胸がじわっと温かくなりました。
共感してくれたうえで前向きになれるような言葉に、とても救われたのです。
『毎日必死で、うまく育てなきゃと肩に力が入っていたけれど、“今”しかないこの時間ももっと楽しめたらいいな』と思えた言葉でした。
成長
その日を境に、
「イヤ!」
ばかりの娘との付き合い方を変えてみることに。
すぐに怒るのではなく、『どうしてイヤなのか聞いてみよう』『イヤって自己表現できることも成長だ』と思えるようになったのです。
何気ない言葉が、迷える母の背中をそっと支えてくれることもあります。
あの日の“知らないママ”のひと言には、今でも感謝しています。
【体験者:20代・女性主婦、回答時期:2025年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:一瀬あい
元作家志望の専業ライター。小説を志した際に行った女性への取材と執筆活動に魅せられ、現在は女性の人生訓に繋がる記事執筆を専門にする。特に女同士の友情やトラブル、嫁姑問題に関心があり、そのジャンルを中心にFTNでヒアリングと執筆を行う。