刻一刻と迫る時間、そして娘の“限界”に悩む母。
そのとき運転手がとった驚きの行動とは?
今回は筆者の友人から聞いた、心温まるタクシー運転手のエピソードをご紹介します。
タクシーでコンサートへ
その日は、5歳の娘が楽しみにしていたコンサートの日でした。
しかし会場へ向かう途中、電車がまさかの遅延!
なんとか間に合わせるため、急遽タクシーに乗ることにしたのです。
数分待ってようやく乗れたものの、コンサート会場近くは予想以上の渋滞!
少し焦りつつも『まぁギリギリには着くかな』と思っていたのですが......。
トイレだって!?
乗車して10分ほど経った頃、娘が、
「ママ、おしっこ」
と小声で告げてくるではありませんか!
急なお願いに慌てつつも、
「もう少し我慢できる?」
と聞いたのですが、娘の顔はすでに限界寸前といった様子。
家を出る前にトイレに行ってあったものの、暑くて何度か水分補給をした結果、尿意に襲われてしまったようでした。
『これはもう、どこでもいいから一旦降ろしてもらってトイレに行くしかない』
本当はこのままタクシーで向かいたい気持ちを抑え、タクシー運転手に事情を話そうとしたその時でした。
運転手さんの神対応!
運転手は何も言わず、こちらの事情を察したかのようにさっと近くのコンビニに車を停めてくれたのです。
「ここならお手洗い貸してもらえます」
「待ってますから大丈夫ですよ」
「裏道もこの先なら分かるので、きっと間に合います!」
その笑顔と落ち着いた声に、心底ホッとしました。
正直、時間も娘のトイレ事情も気になり、余裕の持てない状況だったのです。
そして、娘は無事にトイレを済ませてスッキリ。
さらに、運転手の言った通り、その後は渋滞を避ける裏道を抜けてあっという間に会場に到着。
コンサートの開演時間にもしっかり間に合いました。
ありがとう
ただの運転だけでなく状況を読み、最善を尽くしてくれたあの運転手さんには、感謝しかありません。
思いやりのある言動にとっても心が温かくなりました。
娘にとっても私にとっても、忘れられない1日です。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:一瀬あい
元作家志望の専業ライター。小説を志した際に行った女性への取材と執筆活動に魅せられ、現在は女性の人生訓に繋がる記事執筆を専門にする。特に女同士の友情やトラブル、嫁姑問題に関心があり、そのジャンルを中心にFTNでヒアリングと執筆を行う。