問診票を拾ってくれた方からの、予期せぬ一言
市の検診に行ったときのことです。
問診票に記入し、自分の番を待っていました。手にパンフレットや問診票などを抱えていた私は、ふとした拍子に問診票を落としてしまいました。
落とした先には検診待ちの中年女性が座っており、その方が拾ってくれたのです。
親切心からの、少しの違和感
「ありがとうございます」と言いかけた瞬間、その女性は私の問診票をじっと見つめ始めました。
そこには私の病歴や服用中の薬など、個人情報が盛りだくさん。まさか堂々と見られるとは思わず、「え? なんで?」と驚きました。
拾ってもらった手前、強く言えません。
「ありがとうございます」と少し強めに言うと、その女性は唐突にこう言ったのです。
「この病気、知ってるわよ。若いのに。きついわね」
一瞬、返す言葉に迷いました。
同情だったのかもしれないけれど、私にとっては無神経に感じられたのです。
私は心の中では「あなた、医師でも保健師でもないのに、なぜそこまで踏み込むの」と叫びながら、ぐっと堪えてにっこり笑って答えました。
「そうですね。でも、拾ってくれた人に見られる方がきついですね……」
私がそう言うと、女性はバツが悪そうに黙り込み、そそくさと席を立ちました。
この経験から得た学び
拾ってくれたことには感謝。
でも、勝手に覗いて詮索するなんて、信じられない。
心の中でそう呟きながら、この出来事を通じて、自分も他人のプライベートな情報に触れる際は、より慎重になろうと心に刻んだ出来事でした。
【体験者:30代・女性パート、回答時期:2025年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Yuki Unagi
フリーペーパーの編集として約10年活躍。出産を機に退職した後、子どもの手が離れたのをきっかけに、在宅webライターとして活動をスタート。自分自身の体験や友人知人へのインタビューを行い、大人の女性向けサイトを中心に、得意とする家族関係のコラムを執筆している。