子どもの授業参観で和やかな空気が流れる中、突然ひとりの保護者が成績を比較するような発言をし、場が凍りつきました。その後、担任の先生のひと言で空気が一変。子どもを見守る姿勢の大切さを改めて考えさせられた出来事です。
授業参観での衝撃
ある日の授業参観でのこと。子どもたちの様子を見守ったあと、保護者たちは廊下で立ち話をしていました。最初は和やかな空気が漂っていたのですが、突然ひとりのママが大きな声で言い放ったのです。
「この前のテスト、うちの子95点だったのよ。Mさんのお子さんは何点だったの?」
あまりに唐突で、周囲にまで聞こえるような声量。質問されたMさんは気まずそうに「うちは80点くらいかな……」と答えると、そのママは鼻で笑うように「やっぱり日ごろの勉強の差かしらね」と続けました。
比較マウンティングにモヤモヤ
その瞬間、廊下の空気は一気に凍りつきました。子どもの成績というデリケートな話題を、あえて人前で比較するなんて非常識。見栄のためにわが子を持ち上げ、他の子を下げるような言葉に、周囲の保護者は苦笑いするしかありませんでした。Kさんは心の中で「この人、ありえない!」と叫び、モヤモヤとした気持ちを抱えました。親の態度ひとつで子どもが傷つくかもしれないと考えると、怒りすら込み上げてきたのです。
先生のひと言が空気を変えた
張り詰めた空気をやわらげたのは、担任の先生でした。やさしく微笑みながら、「みなさん、それぞれのお子さんの頑張りを見てあげてくださいね。点数だけがすべてではありませんから」とひと言。凍りついた空気がすっと溶け、勝ち誇った表情をしていたママも顔を赤らめ、そそくさとその場を離れていきました。周囲の保護者は小さくうなずき合い、Kさんも胸のつかえが取れたように感じたといいます。
見えてきた本当の大切さ
家に帰ってからKさんは改めて考えました。成績を比較して一喜一憂しても、親も子も疲れるだけ。本当に大切なのは「昨日より成長できたか」「その子なりに努力できたか」という視点だと気づいたのです。あの先生の落ち着いたひと言は、単なる場の収拾ではなく、保護者にとっても大切な気づきを与えてくれるものでした。
子どもを信じて見守るということ
非常識な発言にモヤモヤした授業参観でしたが、最後は先生の言葉が“成敗”となり場が収まりました。それ以来Kさんは「他の子と比べるのではなく、我が子の頑張りを信じて見守る」ことを意識しているそうです。子どもたちの成長に正解はなく、それぞれのペースで伸びていくもの。そう実感できた出来事でした。
【体験者:40代・女性パート主婦、回答時期:2025年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:北田怜子
経理事務・営業事務・百貨店販売などを経て、現在はWEBライターとして活動中。出産をきっかけに「家事や育児と両立しながら、自宅でできる仕事を」と考え、ライターの道へ。自身の経験を活かしながら幅広く情報収集を行い、リアルで共感を呼ぶ記事執筆を心がけている。子育て・恋愛・美容を中心に、女性の毎日に寄り添う記事を多数執筆。複数のメディアや自身のSNSでも積極的に情報を発信している。