子どもにとって年に1度の楽しみであるお年玉……。親族の愛情を感じられるだけでなく、1年で一番お金持ちになれる機会でもあります。しかし、親の方針によっては、お年玉はすぐに預かりとなり、お金持ち気分も一瞬で終わることも。
筆者は中高生時代、お年玉に関する家庭内のルールに苛立ちを感じていました。しかし、大人になってからそのルールの大切さに気付いた経験についてお話しします。

母にこのことを帰省時に軽い雑談として話したところ、「これまでのお年玉があるから、それで留学に行ったらどうか?」と言われました。私は通帳を見てびっくり。毎年、母はお正月が明けてすぐ、お年玉を全額きちんと貯金してくれていたのです。お年玉だけではなく、親戚からもらった入学祝などのお祝い金も使わずに貯金してくれていました。留学費用だけでなく、パスポートの取得費や現地での生活費、お土産代などを差し引いても十分な金額となっていたのです。

自分にとって最良の選択だった

高校生まではワンピース1万円台のブランドの洋服や好きな芸能人のグッズを購入することが、最善のお金の使い道だと思っていました。また、当時は、購入した洋服は大人になっても着るし、この芸能人のことはずっと好きだと思っていました。しかし、人によって異なるものの、年齢によって好きな物は変わりますし、特に洋服だと大人でも体型は変わるので、10代で購入した洋服は着れなくなることも珍しくありません。
あくまでも私の場合はということですが、それらの物にお金を使っていたら、中高校生時代の思い出は増やせたとしても、手元には何も残らなかっただろうなと思っています。

現在は、留学経験を活かし、英語講師をしたり、国際交流のボランティアをしたりしています。留学に行ったからこそ拓けた道なので、両親はもちろん、お年玉をくれた親族に感謝しています。

今の自分はお年玉をあげる立場ですが、子どもたちには「好きな物を買って欲しい」と思う反面、「ちゃんと貯金してね」と一言添えるようにしています。

【体験者:30代・会社員、回答時期:2025年9月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:太田あやこ
大学でジェンダーや女性史を学んだことをきっかけに、専業ライターとして活動中。自身の経験を活かしながら、幅広い情報収集を行い、読者に寄り添うスタイルを貫いている。人生の選択肢を広げるヒントを提供し、日々の悩みに少しでも明るさをもたらせるよう、前向きになれる記事づくりに取り組んでいる。