自分の言いたいことなのに、あたかもそれは他の人の意見かのように言う人っていますよね。今回は私の友人A子さんから聞いた、自分の夫の名前を使って、自分の意見や主張を嫁に伝えてくる義母の話を紹介します。

義父の失言

A子が30代半ばで初めての妊娠中、義母からとんでもないことを言われてしまいました。「お父さんがね、一人目は絶対男の子がいいって」とのこと。

結婚5年目のA子夫婦にとって待ちに待った待望の赤ちゃんだったので、女の子でも男の子でも性別などどちらでもよかったというのが本音です。義母の発言には、呆れて何も言えませんでした。性別を選べるものでもありませんし、赤ちゃんはA子たちの子どもです。義両親の意見は聞いていないのに、と思いつつも「義父はそんなことを言うような人ではないのに……」とも感じました。赤ちゃんをなかなか授からないA子夫婦にいつもやさしい言葉をかけてくれたり、A子の体調を気遣ってくれるような義父だったからです。

義父の発言ではなかった……!?

しかも、夫から義父に注意してもらったときに分かったのですが、義父は「俺はそんなこと一言も言ってない!」とのことだったのです。夫は正直「またか……」と思ったそうです。

義母はよく、「お父さんが言ってたんだけど」「お父さんもそうやって言ってた」などと、自分の意見にもかかわらず、あたかも義父の意見のように伝えてくる癖がありました。今回も夫と義父が義母を問い詰めると、「だって男の子がいいじゃない! この家の跡継ぎが必要でしょ!」と開き直る始末。

利用された!? 不憫な義父……

A子や夫、義父は、義母が自分の意見を義父の言葉として伝えることに対して、呆れています。義父が意図せず悪者にされる状況は、家族間の信頼関係を損ないかねません。「言いたいことがあるなら、せめて自分の意見として言ったらいいのに」と感じたA子でした。

A子の義母が「この家の跡継ぎが必要」と発言した背景には、特に家業や伝統があるわけではないにもかかわらず、古い慣習的な価値観に無意識に囚われているのかもしれません。生まれてくるお子さんには、そのような性別や役割にとらわれず、自由に人生を選んでほしいものですね。

【体験者:30代・女性主婦、回答時期:2025年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:ichika.K
2児の育児を機に、ママの悲喜こもごもを描くライターとしての活動をスタート。子育てメディアなどの執筆を経て、独立し現在はltnでコラムを連載中。大手企業の総合職でのOL経験、そこから夫の単身赴任によりワンオペでの育児を行った経験から、育児と仕事を両立するママの参考になる情報を発信すべく、日々情報をリサーチ中。