筆者の話です。
地方出身の私にとって、大きな駅の地下は【ダンジョン】
迷子がこわくて避けてきた通勤ルートが、上司の一言で変わったのです。

駅の地下は【ダンジョン】

地方から都市部に引っ越してきた頃、何よりも戸惑ったのが駅の構造でした。
出口がいくつもあり、間違えれば知らない通りに出てしまう。

特に地下は入り組んでいて、方向感覚を失いそうになるのがこわくて仕方ありません。
そのため、わざわざ時間がかかっても目的地を見ながら地上を歩くようにしていました。

遠回りでも地上を選んでいた日々

そんな生活が続いていたある日、前職の支店から誘われてアルバイトに通うことに。
主要駅からの乗り換えを伴う通勤。
本当は通勤時間を短くしたいのに、こわさが勝ってしまい、私は依然として地下を避け続けていました。

周囲の人たちが地下をスイスイ通り抜けていく姿を見ると「私だけ取り残されているみたい……」と情けなく感じることもありました。
そんな自分を変えたいと思いながらも、勇気が出ず、つい毎日同じ道を選んでしまっていたのです。

上司がくれた地下への案内

ある日、上司と一緒に駅まで歩く機会がありました。
いつものように地上に出ようとする私に、
「こっちの方が近道やで、横断歩道ないし」
そう言って、私鉄駅へとつながる地下道へ案内してくれたのです。

「方向音痴なので、目的地が見えていないと不安で……」と打ち明けると、
「じゃあ今日は駅まで一緒に行ったるわ!」と笑いながら同行してくれることに。