今回は心に残る職場エピソードをご紹介します。
涙もろい新入社員
中途採用で入ってきた20代前半の女性社員は、真面目だけどとにかく涙もろいところが印象的でした。
ちょっとしたミスを指摘しただけで、すぐ目に涙を溜めてしまうため、何だかこちらが悪者のような気にさせられるのです。
周囲の先輩女性たちも、
「最近の子はすぐ泣くから扱いづらいね」
とモヤモヤしていて、彼女と関わること自体避ける同僚もいました。
彼女の事情
正直、私自身も最初は同じように感じで、どう関わればいいのか悩んでいました。
でも、そんなある日の昼休みのこと。
彼女がトイレで電話している内容をたまたま耳にしてから、意識が変わったのです。
「ごめん、今日も遅くなる」
「保育園のお迎えお願いしてもいい?」
「子どもにもさみしい思いをさせているわよね」
仕事と子育ての両立
その後、電話を終えた彼女と話をしてみると、実は若くしてシングルマザーだったことが発覚!
毎朝早くに保育園に預けてから出社。
仕事が終わればお迎えに直行。
2歳の息子さんは体が弱いそうで何度か保育園から呼び出しもあったようですが、仕事に就いたばかりということもあり、何とか母にお世話を頼んでいたそう。
よく見ると、彼女の顔にはクマがあり、相当疲れている様子。
男性上司には入社時に話していたそうですが、子育てと仕事の両立でギリギリの状態だったことを、私や先輩女性たちは何も聞かされていませんでした……。
助け合いが大事
それをきっかけに、私は男性上司に相談し、彼女の勤務時間や業務配分を見直すことに。
事情を知った先輩たちも、
「よく1人で頑張っているわね」
と、以前より優しく彼女と接するようになりました。
泣くことは単なる弱さではなく、一生懸命頑張っている証拠なのかもしれません。
職場は効率を求めるだけの場ではなく、働く人が抱える困りごとにも寄り添い助け合えるような環境が整っていてほしいと感じた出来事でした。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:一瀬あい
元作家志望の専業ライター。小説を志した際に行った女性への取材と執筆活動に魅せられ、現在は女性の人生訓に繋がる記事執筆を専門にする。特に女同士の友情やトラブル、嫁姑問題に関心があり、そのジャンルを中心にFTNでヒアリングと執筆を行う。